飲酒運転で逮捕されたら社員を懲戒解雇できるのか?
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もし、あなたが飲酒運転で逮捕されたら…
または、会社の従業員が飲酒運転で逮捕されたら…
会社として、その飲酒運転で逮捕されたら社員を懲戒解雇できるのでしょうか?

今回はそんな従業員が私生活で起こした問題に関して、判例や事例を踏まえて、ご紹介しておきたいと思います。




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飲酒運転で逮捕されたら社員を懲戒解雇できるのか?



従業員が会社の管理下を離れ、私生活で行った犯罪等の非行行為を「私生活上の非行」と言います。
このような場合、たとえ私生活上で行われたことであっても、会社のと名誉を傷개る行為となれば、これを守るために、懲戒処分をすることができるとされています。

ただし、懲戒処分を可能とするためには、罰則などを就業規則に定め、業員に周知しておく必要があります。
このような要件を満たしていれば、私生活上で、飲酒運転を行い逮捕された場合、業員を懲戒解雇することも可能であると考えられます。

この点については、「私生活の自由は保障されており、会社は、従業員のプライベートな私生活にまで干渉できないから、懲戒処分は就業時間中、あるいは企業施設内でのみ可能で、服務規律に違反する制裁としてしか行使できない。」と解して懲戒行動は「企業内に限定される」とする考え方があります(企業内限定説)。

一方で、「企業の存立基盤は社会にあり、従業員の非行が広く報道された場合、会社の名誉、信用を傷つけ、あるいは、他の従業員の士気やモラルが下がるなどの悪影響を会社全体に及ぼし、放置すれば、会社の経営を脅かすことにもなりかねません。そのように考えると懲戒処分を単なる服務規律違反に対する制裁であると限定的に考える必要はなく、企業秩序を守るために、従業員が私生活上行った非行に対しても有効である。」と解して、企業の秩序を維持するためならば、懲戒行動は企業内に限定されないとする考え方があります(企業秩序説)。

これまでのところ、会社は企業秩序を守るために、従業員が私生活上行った非行に対しても会社経営に支障を及ぼすなどの場合は、懲戒処分することができると解されています

判例は、

企業秩序を維持確保するため、これに必要な諸事項について、就業規則をもって、一般的に定め、あるいは具体的に労働者に指示、命令することができ、また秩序に違反する行為があった場合には、その内容、態様、程度等を明らかにして、乱された企業秩序の回復に必要な業務上の指示、命令を発し、又は違反者に対し制裁として懲戒処分を行うため、事実関係の調査をす矼とができる。(富士重工事件昭52.12.13・最高裁)

とし、また、

「就業規則または具体的指示・命令に違反する(中略)場合には、企業秩序を乱すものとして、行為者に対し、(中略)就業規則の定めるところに従い、制裁として懲戒処分を行うことができる。」(国鉄札幌運転区事件昭54.10.30・最高裁)

として、懲戒権は、企業の秩序維持の権利であるが、就業規則に定めることで、初めて行使できるものであると判示しています。

さらに、

「使用者が労働者を懲戒するには、あらかじめ就業規則において懲戒の種別及び事由を定めておくことを要する。そして、就業規則が法的規範としての性質を有するものとして拘束力を生ずるためには、その内容を適用を受ける事業場の労働者に周知させる手続が採られていることを要する。(フジ興産事件 平15.10.10・最高裁)

としています。

これらの判例から、会社は、就業規則に記載し職場の従業員に周知させることを要件として、従業員の私生活上の非行を懲罰対象とすることが可能と言えるでしょう。
実務的には、就業規則に記載するとともに、日頃から、「飲酒運転禁止」など、注意を喚起して、これらの行為が懲戒となることをよく従業員に周知させておくなどの対応が必要なのです。




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従業員の私生活上の非行に対する懲罰の限界



たとえ就業規則に定めたとしても、懲罰には限界があります。
判例は

従業員の不名誉な行為が、会社の体面を著しく汚したというためには、必ずしも具体的な業務阻害の結果や取引上の不利益の発生を必要とするものではないが、当該行為の性質、情状のほか、会社の事業の種類,態様,規模、会社の経済界に占める地位、経営方針及びその従業員の会社における地位、職種等諸般の事情から総合的に判断して、右行為により会社の社会的評価に及ぼす悪影響が相当重大であると客観的に評価される場合でなければならない。(日本鋼管事件昭49.3.15・最高裁)

とされ、会社が、非行により受けた社会的評価に及ぼす悪影響の程度により、罪の程度を決定すべきであって、例えば、いきなり懲戒解雇するのではなく、企業秩序の維持に与えた程度を客観的に評価して、訓戒や減給、罰金、出勤停止など適切な懲罰を適用するなどの対処が必要と言えます。

「飲酒運転」についても、事故の内容など社会に与えた影響や、企業秩序に及ぼした悪影響の程度を客観的に評価して、具体的な懲戒内容を決めるべきなのです。

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