顧客との関係を築くためのマーケティング手法「CRM」とは?

1990年代後半以降になって企業は先を争うようにCRMの導入を進めていました。
ちなみにCRMとは「Customer Relationship Management」…
直訳すれば「顧客関係性経営」の略ですが、その定義は一様ではありません。

「顧客の満足度を高めることによって、収益の向上をはかる経営手法」という一つの定義は、ほとんどCS(顧客満足)と同じです。
新聞などでは「顧客情報管理」という説明をあてています。
いずれもCRMの一面を良くとらえてはいますが、その特質を十分に表現しているとは言えないのです。

確かにCRMは、CSをはじめとするマーケティング手法が発展する中で生まれた概念です…
CSの全盛期からほぼ10年経った後、もっとも大きな変化はITの劇的な進歩だったと言えるでしょう。

それによって「ワン・トゥ・ワン・マーケティング」という顧客一人ひとりのニーズをとらえて展開されるマーケティング手法と、顧客情報・オペレーション組織の統合が可能になり、それがそのままCRMへと発展していったのです。

つまり、CRMは次のように定義することができます。
「情報システム(IT)を応用して顧客データの一元管理を行いながら、顧客満足の向上をはかり、企業が顧客と長期的な関係を築く手法」と。

そして、このマーケティング手法は、統合化されたシステム構築をともなうため、組織統合にも発展していきます。
それはまた、企業のビジョンさえも、顧客満足という視点からの再構築につながるということでもあるのです。
すなわち、CRMは、企業そのもののあり方を問う総合的なマネジメント概念ということができます。

さらに、こうした概念の実現を支援するシステム・ソリューションが、具体的なCRMの導入ということになるわけですが、そこにも様々なマーケティング手法の概念に基づく高度なシステム、多岐にわたるツールがIT関連企業によって次々に開発されていました。

今、マーケティング戦略の主流は、かつてのように、顧客の基本属性や嗜好属性などに基づいて市場をセグメント化し、ターゲティングを行い、製品またはサービスをポジショニングして最適のマーケティング・ミックスを実現するという「顧客創造型マーケティング」からCRMのような「顧客維持型マーケティング」へ大きく軸足を移しつつあるのです。

ますます競争が激化する現在の市場環境においては、不確実性の高い見込み顧客を新規に獲得しようとするよりも、もっとも利益に貢献するロイヤルティの高い顧客やリレーションシップ強度の高い顧客との間に望ましい関係を築き、それを維持することの方が効果的だということがわかってきました。

そのためには、一人ひとりの顧客のニーズに対応したマーケティング手法が必要になってくるのです。
それが、ワン・トゥ・ワン・マーケティングでありCRMというわけなのです。




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