企業が顧客と信頼関係を築くことはどれだけ大切か?
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マーケティング・マネジメントは、どちらかというと視点が短期的であるといわれてきました。
特定の商材を効率的に販売するための術であると考えられてきたからです。

これに対して、近年では、より長期的な観点からマーケティング活動を捉えていこうという議論がされるようになっています。
こうした議論では、これまでのマーケティング・マネジメントは「交換パラダイム」(交換を中心とした考え方)に基づく活動として捉えられることになります。

交換パラダイムでは、その都度存在している顧客のニーズにマーケティングが応えることによって、顧客と企業の間にwin-winの関係が成立すると考えます。
顧客は交換を通じて自身の課題を解決することができ、企業は交換を通じて対価を得ることができます。
まさに、顧客のニーズに応えることがマーケティング活動であることをよく示した考え方だといえます。

これに対して、新しい視点では、交換が成立するそもそもの前提を重視し、「関係性パラダイム」(関係性を中心とした考え方)が提示されます。
関係性パラダイムでは、ニーズを有する顧客とそのニーズに応える企業という一方向的で固定的な関係が見直され、win-winの交換が生ま
れるためには、その前提として、両者の間によい関係が構築されているであろうとい2点に注目します。

そして、その都度の交換を支える関係性という基盤の構築に焦点を当てます。
一度、良い関係が生まれれば、継続的で長期的な交換を見込むことができるようになるわけです。

理想的には、親子や兄弟など家族を考えてみればわかりやすいでしょう。
ケンカをすることも仲違いをすることもしばしばですが、そうした本音のぶつかり合いができるのは、家族という関係がすでに構築されているからです。
また、そうした関係があればこそ、ケンカや仲違いを一緒に乗り越えていこうという気持ちも生まれていきます。


日本では関係性が重視されてきた歴史がある


関係性の構築を重視する考え方は、もともと、産業財やサービス財を対象とするマーケティングにおいて注目されてきた考え方でした。
産業財を対象とするマーケティングでは、トヨタやホンダといった自動車組立メーカーと、彼らに部品を供給する部品メーカーに焦点が当てられます。

彼らの取引関係は、大規模かつ継続的なものであり、一回一回の交換に焦点を当て最適化するというのは困難です。
また、サービス財でも、その価値を事前に評価することが難しく、取引終了後においても、その価値を評価することが難しいことが指摘され
てきました。

病気の治療を考えた場合、難しい病気であればあるほど、どの病院にかかればよいのかは判断しづらく、治療を受けた後も、本当にそれでよくなったのかどうかはわからないことがあります。
教育も同じです。

その成果が現れるのは、すぐとは限りません。
5年後、10年後に、その価値がわかるということもあり得ます。
こういった場合にも、一回一回の治療や教育という交換に注目するよりも、そうした交換を継続的に維持する関係性に注目した方が見通しが良くなるというわけです。

日本では、考えてみれば昔から、交換パラダイムというよりも関係性パラダイムのもとでビジネスが展開されてきたといえるかもしれません。
系列などはその典型です。

信頼といったビジネスにはおよそ似つかわしくない言葉もまた、日本では大事なことだと考えられてきました。
この傾向はきっと消費財においてもあったのでしょう。

実際、関係性を重視する視点はアメリカ型のマーケティングに対抗する形でヨーロッパを中心にして展開されてきた経緯があります。
関係性の重視は、もちろん、交換という考え方を否定するものではありません。

交換の実現のために関係を構築し、関係の構築が、次の交換の実現に貢献するという循環関係を示しているといえるでしょう。
さらにいえば、過度な関係性は、長期的な利益を損なう原因にもなるという点には注意する必要があります。
馴れ合い、癒着、言い方は様々ですが、こうした関係性の弊害もまた理解される必要があります。

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