フリードマンの「マネタリズム」をわかりやすく解説してみる
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マネタリズムは、マネー(貨幣)の重要性をあらためて問い直す考え方です。
1980年代には、レーガン政権やサッチャー政権がこのマネタリズムを経済政策の柱に掲げたことなどから、大きな注目を集めました。

その理論的基礎は、新貨幣数量説という貨幣理論にあります。
これは、ケインズが批判した古典派の貨幣理論だった貨幣数量説を、とくにインフレの分析に有効な理論として発展させたものです。
つまり、ケインズが批判した理論を再び持ち出すことによって、ケインズ主義に真っ向から対立する理論を形成したのです。

このマネタリズムを主唱し、学派のリーダーとして君臨したのが、ミルトン・フリードマンです。
フリードマンは、1960~1970年代にかけて、ケインズ主義がインフレに対する有効な分析と対策を打ち出さなかったことを激しく批判し、マネタリズムの有効性を強く主張しました。

マネタリズムは、物価や名目所得の変動をもたらす最大の要因が貨幣量(貨幣供給量=マネーサプライ)の変動であることをことさら強調するものです。
フリードマンは、「インフレは貨幣的現象である。大恐慌も貨幣的現象である」と断定…
かつての大恐慌の原因は、アメリカの連邦準備理事会(FRB)が、不況下で貨幣の供給を増やすべきところを逆に引き締めるという金融政策の失敗にあったと主張しました(「米国貨幣史」1963年)。

ここで展開される新貨幣数量説は、「人間の行動は長期期待所得(恒常所得)によって決定される」…
という恒常所得仮説に基づいて精緻に構築されたものでした。

マネタリズムの基本的な考え方は、「市場メカニズムは元来健全で円滑に働くものであり、政府の介入がなければ、自然と完全雇用が達成される」という立場に立つもので、自由放任主義に近いものです。
これが、1970年代以降に顕著となったアメリカ社会の新自由主義化の流れに重なったのです。

こうして、1980年代に絶大な影響力を誇り、新自由主義への流れを導いたマネタリズムですが、その後の金融革新の進行を背景に、インフレとデフレが通貨の過不足からは説明できない現象となり、急速に有効性を失っていきました。

そして、厳密な意味でのマネタリズムはすでに経済理論の主流から遠ざかりつつあるのですが、現在もマネタリズム的な視点は影響力を有しています。
現在の日本のように、公共事業などの財政出動を抑制し、中央銀行による金融政策=通貨政策を重視して景気浮揚をはかるのも、マネタリズム的方法だといえるでしょう。




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マネタリズム ケインズ主義
財政政策の評価 財政政策の効果はせいぜい一時的か、ほとんどない。 貨幣量を左右する金融政策が常に有効であるとは限らない。景気調整の手段として財政政策を重視。
経済政策運営のポイント 経済政策の運営にあたっては利子率は重要視せず、貨幣供給の量の安定を重視。雇用より物価の安定を重んじる。 経済政策の運営にあたって利子を低めに安定させ、景気を刺激し、完全雇用の維持をめざす。
景気調整 財政・金融政策で景気を調整することは、景気の不安定化を招くとして反対。貨幣供給の増加率を長期間一定に保つことによって、景気の安定化をはかるべきであると主張。 景気の各局面において、財政・金融政策をもってきめ細かに経済に介入し、積極的に景気の調整にかかわることを主張。
不況対策 貨幣の供給を一定のルールで増やす。 公共事業を中心に需要の拡大をはかる。
基本的な考え方 市場メカニズムは元来健全で円滑に働くものであり、政府の介入がなければ自然と完全雇用が達成される(=シカゴ学派の立場)。 市場メカニズムはそれほど円滑には働かず、長期間にわたって失業を存続させる不安定性をもっているため政府の介入が必要。




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