マイケル・ポーターの「5つの競争要因」と「3つの基本戦略」

1980年代のアメリカでは、日本をはじめとするアジア諸国から安価な商品が大量に流れ込み、多くの企業が苦戦を強いられました。

このような中で、グローバルに成長していくという経営モデルに行き詰まったアメリカの経営者(CEO)たちから、圧倒的な支持を集める経営理論が登場します…
それこそ1980年にハーバード大学教授であったマイケル・ポーターが著した「競争の戦略」です。

この理論が画期的だったのは、敵からの攻撃を防御して、自ら攻め入っていくという…
軍事における戦略的行動を経営にもち込んだことでした。

さらに、業界における競争の実態を明らかにし、その分析法を提供したことです。
続く「競争優位の戦略」、「国の競争優位」という著書によって、今日における経営戦略論の基本を示しました。

まずポーターは、企業をめぐる競争要因が5つあることを提示したのです。
すなわち、➀競合他社、➁新規参入業者、➂買い手、➃代替商品、➄売り手です。
競合他社だけでなく、このような多様な競争要因があるわけですね。

この中で、買い手の競争力とは、ユーザーが団結して値引きを要求するなどが考えられます。
売り手の競争力としては、部品供給業者が強い交渉力をもっているなどが考えられます。

こうして自社の位置づけを分析したうえで、ポーターは企業がとるべき三つの基本戦略を打ち出しました。
それが、コスト・リーダーシップ戦略、差別化戦略、集中戦略です。




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➀コスト・リーダーシップ戦略
原材料の調達、製造、物流、販売などの過程においてコストダウンをはかることで、優位性を築き、自社のマーケットシェアの拡大を期す戦略のこと…
たとえば、海外から安い肉を大量に仕入れ、調理過程を画一化することで一杯280円を実現した牛丼チェーンなどが当てはまります。

また、ユニクロを展開するファーストリテイリングのように、中国での生産によって低価格と商品の高品質を同時に実現するというケースもあります。

基本的にコスト・リーダーシップ戦略は、同じ商品を大量に生産・供給することが効果的なのです。
その理由は、同じ商品の累積の生産高が2倍になると、コストは自然と20~30%減るとされている(経験曲線の理論)からです。

➁差別化戦略
市場全体を対象に商品やサービスに独自性を出すことで、高価格での販売を実現すること…
たとえば、メルセデス・ベンツは他社の高級車とは異なった高級イメージを創り出すことで、高価格販売を実現しています。

➂集中戦略
経営資源を自社にとって有望な事業に集中させることで、差別化集中とコスト集中の2種類があります。
差別化集中は、得意な事業に特化することでパワーを集中させシェア拡大をはかるもの…
コスト集中は、証券会社がネット販売に特化してコストを下げるなどが好例です。




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