ソフトバンク開発のロボット「Pepper」の将来とは?

人工知能とロボットの研究開発に取り組んでいるのは、何も海外のIT企業ばかりではありません。
日本でも、大手電気通信会社のソフトバンクが、ロボット事業に乗り出しています。

彼らが目をつけたのは、「感情認識ロボット」でした。
ソフトバンクグループ傘下のソフトバンクモバイルとフランスのアルデバランロボティクスは、人間の感情を認識する機能を備えた家庭向けヒューマノイド型ロボット、「Pepper(ペッパー)」を開発しました。

ヒューマノイドとは「人間に似ている」という意味の形容詞で、ソフトバンク曰く、Pepperはユーザーの表情と声からその人の感情を認識して、その場にふさわしい反応をするだけでなく、自らも独自の感情機能に従って行動することができるのだといいます。

ソフトバンクは、「情報革命で人々を幸せにするため」に、人間とコミュニケーションを取りながら一緒に生きていける、人間型のインターフェースを備えたコンピュータとしてPepperを開発したのだとか…
つまり、パソコン、スマホ、ウェアラブル端末などの先にあるのが人間そっくりのコンピュータというわけです。

Pepperは2014年6月に発表、同年12月に宣伝戦略の一環としてネスレ日本が運営するネスカフェのコーヒーマシン売り場に配置され、接客を行ったことで話題となりました。
店頭にいるPepperに自分の好みを伝えると、客にぴったりのコーヒーマシンを選んでくれるのだといます。

とは言っても、実際にPepperと人間らしい「対話」ができるわけではありません…
ネスカフェのPepperには、あらかじめいくつかの定型的な選択肢と答えがプログラミングされており、客はPepperの胸元にあるタッチディスプレイを操作するなどして会話をするようになっていたのです。




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そのようなわけで、店頭に配置されたPepperは、「自我」を持ったロボットにはまだまだほど遠い出来ではあったものの、実際に販売されたPepperは、それとは完全に別物でした。

しかし、市販モデルのPepperは、ユーザーの指示を受けずとも自ら考えて行動する側面が拡張され、家族一人一人を認識して彼らとの個別の「記憶」を蓄積、その記憶がPepperの性格や行動の仕方に影響を与えるように進化していたのです。
こうしたPepperの「生物らしさ」への注目は次第に高まりを見せ、2015年2月、デベロッパー向けに300台が販売されると開始わずか1分で売り切れとなり、続いて同年6月からの約1ヶ月ごとに1000台程度の一般向けPepperの販売が開始されると、こちらもわずか1分で売り切れになるほどの人気商品となりました。

そもそも、Pepperは、どのようなメカニズムで人間の感情を認識し、人間との対話処理を行い、学習しているのでしょうか?…
Pepperに採用されている人工知能は「クラウドAI」というものです。

Pepperの人工知能はスタンドアロン(他の機器に接続せず単独で動作する、の意)ではなく、インターネット上のデータ保存空間であるクラウドにあり、常にインターネットに接続された状態で、認識した情報がクラウド上に送られると、クラウドA1がその情報を分析してPepperにフィードバックするという仕組みになっています。

このクラウドA1により、すでに市販されている全てのPepperに対して製品改良が行われたり、個別のPepperがそれぞれのユーザーに対して適応したりしていくのです。
このようなわけで、感情認識ロボットとしてのPepperへの期待感は高まるばかりですが、実のところPepperはそれ以上の「潜在能力」を秘めたツールでもあるのです。

Pepperはインターネットに常時接続し、常に家に置かれているロボットです。
ということは、新しいコンピュータのインターフェースとして人間と触れ合うだけでなく、私たちの住んでいる「家」をモニタリングすることも不可能ではありません。

そうすれば、ペットの体調が悪くなったり、ボヤが発生したり、空巣が入ったりしたときにPepperが自動的に警察や消防、またはユーザーに連絡を入れてくれるようになるかもしれないのです。

ところが、Pepperが日本中の家庭に普及して、このような監視ツールとして用いられるようになると、当然ながらPepperを利用してユーザーの情報を「ビッグデータ」として利用しようという動きも出てくるはずです。
もちろん、すぐには実現されないかもしれませんが、Pepperによって私たちの家の様子が筒抜けになり、そこから得られた情報によってソフトバンクが利益を上げるということだってあり得るということですね。




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