脳をデジタル化して不老不死が実現する未来がやってくる?!

世界的な発明家でグーグルのエンジニアを務める人工知能の権威であるレイ・カーツワイルは、コンピュータ化が進むと、人間は自らの意識をデータ化してコンピュータの中に入り込んでしまうと述べています。
つまり、近い将来、人々は意識を全て巨大コンピューターの中に格納して、その中で生活するようになるというのです。
これをカーツワイルは「マインド・アップローディング」と呼んでいます。

映画「マトリックス」やアニメ「攻殻機動隊」の世界では、ほとんどの登場人物が肉体を持っていたのに対して、カーツワイルが提唱する未来においては、人間は肉体という足かせを完全に捨てて意識だけの存在になり、コンピュータの中に完全に収納されています。
すなわち、SFの世界で言うところのシミュレーション現実を生きているわけです。

また、もしも人の姿が必要なときは3Dホログラムやプロジェクション(投影)によって姿を表現し、物理的な接触はロボット技術を使って行われる…
とカーツワイルは述べています。

こうした肉体を持たないシミュレーション現実の世界を描いたフィクション作品としては、日本のSFアニメ「ゼーガペイン」が挙げられます。
「ゼーガペイン」では量子コンピュータに意識を格納された世界が舞台となっています。

現実世界において地球全土にきわめて致死率の高いウイルスが散布され、逃れ得た極少数の人々が量子コンピュータに作られた仮想空間の町に肉体ごと転送されており、主人公ソゴル・キョウもそこで暮らしています。
しかし、自分たちがコンピューターの中に住んでいることに気づいている者はほとんどいませんでした。

そんなある日、キョウは謎の女性シズノに出会います。
そしてキョウは彼女に呼ばれ、生徒会長のシマが司令を務める戦艦へと召喚され、人型兵器「ゼーガペイン・アルティール」に乗り、「ガルズオルム」と呼ばれる敵と戦うこととなります。

キョウは単なるゲームと思って気楽な気持ちで戦っていましたが、日増しに違和感を覚えるようになるのです。
そして、ある日、ゲームと思っていた荒廃した世界こそが現実であり、自分が現実と思っていた世界は、量子コンピュータサーバー内で処理されている仮想空間であることを知りました。

そこでは、自分たちは「幻体」と呼ばれるデータでしかないという衝撃の事実が待っていたのです。
そして、それらは全てナーガという科学者によって仕組まれたものでした。

ナーガはかねてより時間の加速した量子サーバー内で人間を進化させる「無限進化」を提唱しており、科学的好奇心に突き動かされて、それを実現するためにウイルスを使って人類を追い詰めたのです。
その結果、辛くも生き残った人々は量子コンピューター内に意識を転送して、その中で生きつづけることを余儀なくされたが、それは全てナーガの実験のためでした。

しかし、量子コンピュータの世界がシミュレーション現実だと気がついたキョウを含む「セレブラント」と呼ばれる者たちは対抗組織「セレブラム」を設立…
ナーガと彼が率いるロボット軍団と戦うことになるのです。




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以上が「ゼーガペイン」のおおまかなストーリーですが、「ゼーガペイン」の世界での量子コンピューターのシミュレーション現実は一種のディストピアとして描かれています。
これに対して、カーツワイルは肉体を捨ててコンピュータの中に意識を入れることで不老不死が実現すると述べ、その世界は人類の発達の到達点だと定義しています。

不老不死を実現するためには意識をあらかじめコンピュータにアップロードしておく必要があると、カーツワイルは述べています。
そうすれば、たとえ肉体が死んでも、理論上は意識はコンピュータ上で生きつづけることができるというのです。

とはいえ、死ぬ直前の意識をアップロードすると、その意識は混濁していたり、あるいは認知症などを患っていたりするので、若くて健康な状態のときにアップロードしておく必要があります。

しかし、これにも大きな問題が残るのです。
それは、肉体が生きている間は、肉体に付随した意識と、コンピューター内に格納された意識の2つが同時に存在することになることです。

2つの意識は、現実世界と仮想世界においてそれぞれ別個の体験を重ねるので、人格もそれぞれ別のものになってしまいます。
それは、自分のクローン人間を作ったとしても、その後の体験の違いによって、オリジナルの自分とクローンとでは性格や思考形態が異なっているのと似ています。

これを防ぐためには、コンピューターの意識の方は肉体が死ぬまでは、そのままの状態で保存しておき、意識の持ち主が死んだ後にそのデータを起動させるのが良いと考えられているのです。




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