「労働契約書」の記載事項と関連する法律について学ぶ

目次

雇用主と使用者との間で労働条件を明確にするために交わす契約書…
これを「労働契約書」または雇用契約書(こようけいやくしょ)といいます

この「労働契約書」一つ労働時間や給料、休暇など、様々なことが決められるビジネスマンにとっては一番重要ともいえるものです。
今回はそんな「労働契約書」の記載事項と関連する法律について、ご紹介しておきたいと思います。




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労働契約書の記載事項と関連する法律について


ある人が会社に入り、仕事を始めるということは、労働者と使用者が契約を交わす…
ということです。
自分では覚えがなくても、会社に入る際には、口約束または文書で必ずこの労働契約」を交わしているはずです(口約束でも契約自体は成立します)。

こうした労働基準法が適用される契約を特に「労働契約」(雇用契約)と呼んでいます。
そして、会社との間でまずトラブルになるのが、採用の際に結ばれる「労働契約」に関してなのです。

この労働契約を巡って、労働者が書面を受け取っていなかったため、「こんなはずじゃなかったのに!」、「いや、最初に言ったじゃないか!」という水掛け論になりかねないからです。

こういった問題は、トラブルが発生して初めて気づくことが多いのです。
つまり、それだけ自分の労働契約内容を書面でしっかり把握していない人が多いということです。

そういった意味では、トラブルを防ぐ一番の方法は、労働者は、労働契約書(雇入通知書、労働条件通知書)を受け取り、「契約時にしっかり自分の労働条件を確認すること」に尽きるのです。

ちなみに労働基準法上、労働契約を結ぶ際、使用者は次のことを労働者に明示しなけれぱならないと義務づけられています。
「明示」とは、口頭で説明するなどして、労働者が理解できるようにすることですが、下記の➀~➄は文書で明示しなくてはならない「文書
明示事項」となっています(一五条)。

◆必ず文書で明示しなければならないもの
➀労働契約期間の有無、長さ
➁働く場所、従事する仕事の内容
➂始業·終業の時刻、休憩時間、休日、休暇、交替制勤務の場合の交替方法など
➃給料の決定、計算、支払いの方法、給料の締切り、支払い時期、昇給のこと
➄退職に関すること

◆会社が定めている場合にのみ明示
➅退職金の支払われる社員の範囲、退職金の決定・計算・支払い方法・支払い時期
➆臨時の給料・賞与・手当、最低賃金額のこと
➇食費、作業用品、作業服代等の労働者の負担の有無・金額
➈労働安全・衛生のこと
➉教育研修、職業訓練のこと
⑪業務上の災害補償、業務外の傷病扶助
⑫表彰、制裁(懲戒処分)のこと
⑬休職のこと

ですので、もしあなたが「これは最初の話と違うのではないか?」と思ったら、労働契約書で自分の契約内容左見直してみましょう。
もしも労働契約書をもらっていなかったり、紛失したら、会社からもらってください。




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最低賃金法違反なら労働契約も無効にできる?!


では、一度労働契約を結んでしまったら、絶対にそれを守らねばならないのでしょうか?
極端な話、「一日中タダ働きする」という契約を交わしたら、それを守らねばならないのでしょうか?

そこまで極端ではなくても、普通は労働者よりも雇う側である使用者の方が立場が強いものです。
なかなか自分の権利を強くは主張できないこともあるでしょう。

ですが先ほど述べたように、そういう弱い立場の労働者を守るのが労働基準法なのです。
いくら契約を交わしたからといって、それが労働基準法に定める基準や最低賃金法で定める最低賃金額に達しない場合、その契約は無効になります。
その場合には、労働基準法等で定める基準で労働契約を結んだものとして取り扱われます(一五条)。

たとえば、所定労働時間を一日三時間とする合意を労働者と使用者の間で交わしていたとしても、労働基準法の定める一日の労働時間は八時間に制限されているので、これは無効になり、八時間の契約として取り扱われます

もし使用者との間で交わした労働契約の内容が労働基準法等に反していた場合、労働者は会社に改善を求めることができますし、その契約を即刻解除することもできます。
また労働基準監督署に申告(解決依頼)したり、場合によっては会社に損害賠償請求(民事訴訟)をすることもできます。

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