なぜ仕事がなくても官僚は増え続けるのか?(パーキンソン法則)
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人は社会の中で生きていく限り、何らかの形で組織とのかかわりを持っています。
組織とは、共通の目標を達成するために、秩序のもとに協働を行なう人々で構成されているシステムのことです。

それには様々な形態があり、大別すれば政府機関と軍隊以外に営利組織と非営利組織があります。
営利組織は利潤を追求する組織で、その典型は企業です。
非営利組織には教育機関、労働組合などがあるでしょう。

そもそも組織は、前近代においては血縁や友人関係などに基づいて運営されていましたが、恣意的(しいてき)で独断的運営に陥りやすく、多くの弊害ももたらしてきました。
その後、そこから脱却するため、合理的規則によって運営される近代的システムへと変容し、集団や運営組織の規模の拡大とともに生まれたのが、「官僚制」という管理システムです。

官僚制とは、一定の規則のもとに運営され、組織の目標を効率的に達成しようとする制度であり、上意下達(じょういかたつ)の指揮命令系統を有するヒエラルキー(ピラミッド型の階層制)が1つの特徴です。
しかし組織が肥大化し、官僚支配が浸透するに伴って、次第に組織全体の統制が困難となり、官僚主義といわれるようなマイナス面が多く見られるようになりました。

たとえば、私たちが政府機関と折衝(せっしょう)する際に、先例がないとか、規則にないという理由で断られたり、役所の窓口担当者に見受けられる冷淡で横柄な態度、または物事を明らかにしない秘密主義などがそれにあたります。
これらは政治団体や役所に限らず、非営利組織や企業などにも多く見られますが、官僚主義特有の傾向といえるでしょう。

このような官僚制の非合理性と矛盾を見事に暴いたのが、イギリスの歴史家、シリル・ノースコート・パーキンソンです。
彼は、第二次世界大戦中にイギリス軍の将校として従軍し、その間に自身が得た軍隊や官僚機構での教訓を、1955年にエコノミスト誌に発表しました。
その記事「バーキンソンの法則」の中で、警句として多くの法則を紹介しているのです。

パーキンソン氏は、奇抜な発想と冷笑的な見方で、行政や経営上の弱点を巧みに突いた法則を数多く唱えており、半世紀たった今日でも、そ
の正確さと実効性によって、様々な分野で応用されています。
しかも、いずれもイギリス人特有のウィットとユーモアに富んでいるので、なおさら興味深いのです。

誰でも官僚制において人員が増えるのは、仕事量が増えているからだと思うでしょう。
あるいは逆に、官僚の数が増えると、一部の者が怠けるか、または全員の勤務時間が少なくなると考えるかもしれません。

しかし同氏はそのどちらも間違っており、実際の仕事量とは関係なく、「たとえ仕事が全くなくなっても、官僚の数はひたすら増え続ける」というのです。

その根拠として、イギリス海軍の実例を持ち出しています。
1914年から1928年までに船舶数が67%、士官や水兵の数がそれぞれ31%減少したにもかかわらず、将官の数は逆に78%も増加しているのです。

そこでパーキンソン氏が提唱したのが、別名「成長の法則」と呼ばれる第1法則です。
すなわち「仕事の量は、完成するために与えられた時間を満たすまで膨張する」としています。

つまり、完成までの時間が余っていれば、それに合わせて、仕事の重要性や複雑さも増すのだといいます。
彼は仕事の量とその仕事をする人数との間には、相関関係がないと言い切っています。
仕事にかかる時間は、人によって短くなったり長くなったりするとし、次のような例を挙げています。

老女は暇を持て余しているので、ハガキを出すような簡単なことでも1日がかりでします。
ハガキと住所探しにそれぞれ1時間、書く言葉にも細心の注意を払うのでまた1時間をかけ、郵便局まで行くのに傘を持って行くかどうかでまた迷う…

このように、老女はハガキを出すのにほぼ1日かかりますが、多忙な男性なら、それは3分とかからないだろうといいます。
人によって、仕事は増えたり減ったりするものなのです。




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