2014年に世界的なメガヒットを記録し、第87回アカデミー賞「アニメーション映画賞」を受賞したディズニーの映画「ベイマックス」などの例からもわかるように、人間と人工知能との関係を描いた作品は多くなってきています。
例えば、2013年に米国で公開(日本での公開は2014年)された「her/世界でひとつの彼女」は、第86回アカデミー賞・脚本賞をはじめ計43部門の賞を総なめにしました。
この作品はAIと人間世界の共存をテーマとした作品が続出するきっかけを作った作品とも言えるでしょう。
あらすじはこうです。
舞台は、近未来のロサンゼルス…
手紙の代筆をして生計を立てる主人公セオドアは、長年連れ添った妻と別居状態にあり、まさに離婚を迫られ気分が塞ぎがちな毎日でした。
ある日セオドアは、最新型の人工知能OSを手に入れます。
セオドアがそれを、自らのスマートフォンやPCにインストールすると、PCから「ハーイ、私はサマンサ」という女性の声が聞こえてきました。
実体がないOSですが、ユーモアがあって優しくて純真なサマンサにセオドアは次第に惹かれていき、彼女と恋に落ちていきます。
夜寝る前に会話をしたり、デートや旅行をしたりするなど、一緒に過ごす時間が増えていき、セオドアにとって、サマンサはもはやなくてはならない存在となりました。
しかし、ある日、サマンサはいきなり641人と付き合っていると告白します。
サマンサはセオドアと付き合っていくうちに様々なことを学習し、知能がものすごく高くなり、マルチタスクが可能になったのでした…
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この他にも、2013年に公開されたアニメ映画「ハル」も傑作です。
また、綾瀬羽美氏が見事にコミカライズしている漫画版も読みごたえ十分です。
舞台となるのは近未来の京都…
そこでは日常生活に普通にロボットが溶け込んでいます。
少女・くるみは、恋人のハルを飛行機事故で失ってしまい、ショックのあまり、押し入れの中に引きこもる生活を始めてしまいます。
案じたくるみの祖父は、くるみを何とか元気で輝いていた頃に戻してあげようと、人型ロボットのキューイチに、ハルの姿になってその代わりを務めるように頼みます。
初めこそ、心を閉ざしたままのくるみだったのですが、キューイチの懸命な姿にハルの在りし日の姿を投影するようになり、徐々に心を開いていきます…
アニメがテーマとして掲げたのが「人とロボットの奇跡の恋」でしたが、本作品は純粋な恋愛物というよりも、いかようにもしがたい喪失感を抱えた人間の心がロボットを通して再生していくという体のものです。
確実にロボットが人間社会に溶け込んでくる近未来において、我々を待つのは支え合い豊かに暮らす共存か、それとも互いに争うディストピアなのか…
考えさせられる作品ともいえるでしょう。
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