ビジネスの世界には様々な市場があります。
また、その市場が何らかの法則をもっていることもあるのです。
エッジの効いたビジネスマンであれば、そういった市場の法則について少しでも知識をつけておかなければいけません。
そこでここではビジネスマンなら知っておきたい…
「茹でガエルの法則」についてお話したいと思います。
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ビジネスマンなら知っておきたい「茹でガエルの法則」
「茹(ゆ)でガエル(Boiled Frog)の法則」は、カエルを生きたまま、ゆっくり茹でる話に基づいています。
カエルを沸騰した湯の中に入れるとすぐ飛び出しますが、冷水に入れて徐々に温めると、危険性を感知できず、茹でられて死んでしまうというお話です。
この寓話は「重大な変化が周りで徐々に生じているにもかかわらず、人や組織がそれに対応しないため、思わぬ結果をもたらす」ことの比喩として使われています。
わが国にも似た表現で、安逸な生活態度を取ることを「ぬるま湯につかる」というのがありますね。
この「茹でガエルの法則」は、周囲の変化に敏感に対応しない危険性を、生々しく伝えているのです。
カエルを茹でる実験は、19世紀に何人かの西欧の科学者によって証明されたとされています。
しかし、果たして生きたカエルは水温が高くなっても、そのままじっとしているかについて、後世の一部の学者は、その事実はなく、水温が高くなればカエルは跳び出すと反論しています。
しかし、その賛否は別として、比喩としてとても面白い表現でもあります。
「茹でガエルの法則」は、企業の業績悪化が危機レベルに迫りつつあるにもかかわらず、慢心からそれを把握できずに業績悪化を導いたり、市場から退却する憂き目にあう譬(たと)えとして使われています。
その好例として引用されるのが、1980年代に起きたソニーのベータ方式対日本ビクター(現・JVCケンウッド)のVHS方式による、VTR(ビデオテープレコーダー)戦争です。
ソニーはVTRを他社よりもいち早く開発し売り出したましたが、性能重視のあまり廉価機の開発に遅れ、しかもユーザーフレンドリーでなくなりました。
そこへ殴り込みをかけたのが後発のVHSで、製造コストが安いことを売り物に、OEM(相手先商標製品)供給に反対していたソニーに対し、日本ビクターはOEM供給を積極的に展開し、松下電器(現・パナソニック)など多くの大手電機メーカーを提携先として取り込んだのです。
その結果、自社技術にこだわるあまり、ソニーは孤立することになり、2002年に敗北を認め、ベータ方式の生産を全面的に中止する結果となりました。
ソニーの敗因は、ユーザーがより廉価で取り扱いの容易な機種を求めていたにもかかわらず、彼らの声に耳を傾けなかったことです。
つまり、周囲の環境変化に気づかなかった「茹でガエル」になっていたのですね。
熾烈(しれつ)な企業間競争が行なわれている現今で、企業が存続するには、外部からの脅威や変化に絶えず注意し、敏感に反応しなければならず、それに即した適切な手段を迅速に講じる必要があります。
アメリカのある識者は、東京電力が東日本大震災の際に取った情報公開の遅れについて、この比喩を用いています。
たとえば、同社は大半の炉心にメルトダウンが発生している事実を被災直後に把握していながら、2カ月以上も公表せずに、時間をかけて小出しにした点です。
東京電力は会社が不利になることを避けるため、事態の深刻さを極力抑えてダメージをコントロールしていたに違いないというのです。
しかし、ここでは、その事実を知らされないまま同社に振り回されて「茹でガエル」にされたのは、他ならぬ一般市民であるとしています。
西欧の諺(ことわざ)で、いみじくも「知っていることが人を傷つけるのではなく、知らないことこそが傷つける」といっているように、この「茹でガエルの法則」は、私たちが自己満足に陥らずに、絶えず周囲に目を向けて他人の意見を求め、聞くことの大切さを教えてくれ
ているのです。
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