ボーナス直前に会社を辞めさせられた場合…
ボーナスは全くもらえないのでしょうか?
例えばこんなケースです。
12月20日のボーナス支給日直前に整理解雇され、当社の給与規程にボーナス支給日に在籍していない人には支給しないと定められているとの理由で冬のボーナスは全くもらえなかった…
他の社員と同様に7月のボーナス支給日以降、12月上旬まで勤務してきたのに、支給日に在籍していないということだけで全くもらえないのはバランスを欠いているようにも思えます。
金額の一部でももらえたりしないのでしょうか。
賞与(ボーナス)については、就業規則(給与規程)に「毎年7月および12月の2回、支給期日に在籍する者に対して支給する」といったように、支給日在籍要件を設けている会社が多く見られます。
賞与の支給はこれまでの勤務に対する報酬であると同時に、将来の勤務に対する意欲向上策でもあるからでしょう。
ただし、ここで労働基準法をある程度知っている方は、「毎月の賃金の場合、賃金の支払日(たとえば毎月25日)より前(たとえば10日)に退職して在籍していなくても、勤務した日数分の賃金は支払わなければならない。それに従えば、支払期日にいなくても、支給対象期間に働いた分だけ賞与がもらえるのではないか」と思うかもしれません。
この考え方は、整理解雇者や定年退職者にはあてはまります。
整理解雇や定年は会社の都合によるもので、退職日左労働者が自ら決められるものではないからです。
この場合は支給日在籍要件の取扱いは許されず、支給対象期間中の勤務期間に応じた賞与を支給すべきと考えられるのです。
ただし、労働基準法にこの点について規定はありません。
判例によって判断されることですから、都道府県労働局の個別労働紛争解決システムあるいは民事訴訟の場で言い分を主張するしか解決方法はありません。
他方、自己都合や懲戒解雇などによる退職者については、支給日前に退職した場合は支給しない取扱いにしても違法ではありません。
判例においても、昭和57年に大和銀行事件で争われたケースで、最高裁は銀行側が賞与の支払いを拒否したことを有効と判断しています。
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