ケインズの「有効需要の原理」を簡単に説明すると…

偶然にも、あのドイツの経済学者カール・マルクスが死んだ年に生まれたケインズは、20世紀前半を代表するイギリス経済学界の巨星です。
ケインズは、それまでの経済学の主流だった新古典派経済学を覆す新しい経済理論を打ち出し、「ケインズ革命」と呼ばれる一大センセーションを巻き起こしました。

その著書「雇用・利子および貨幣の一般理論」(1936年)は、第二次大戦後の先進国の経済政策にも決定的な影響を与えています。

この理論の核となるのが「有効需要の原理」です。
これは、一言でいうと「現実の産出量・経済の活動水準は、潜在的生産能力ではなく、需要によって規定される」というもの…
さらにかみ砕けば、「みんなが欲しがる分だけ生産するのが現実の経済だ」となるのです。

それは、ケインズ以前の新古典派経済学の考え方=「供給が需要を創造するから、超過供給であっても価格調整により需要の均衡がはかられる」(つまり、生産した分だけみんなが欲しがる 余ったら価格を下げれば買う)を否定し、「価格調整ではなく、数量調整によって需要に等しい水準に供給が決定される」という新しい考え方を提示するものでした。

ここでいう需要とは、「貨幣的な購買力をもって実際に需要者として市場に登場する」という裏づけをもつ「有効需要」のことです。
この理論体系の完成が、一国の経済全体を巨視的に解読するマクロ経済学の誕生でもありました。

ケインズが生きた時代は、イギリス経済が失速していく過程にぴたりと重なっています。
ケインズはそれを19世紀型経済システムの崩壊ととらえ、問題解決のために「政府による財政・金融政策を通したマクロ的有効需要管理」を主張・実践したのです。

ケインズの死後、その理論はケイジアンと呼ばれる経済学者たちによって受け継がれ、発展しました。
今や、ケインズ経済学は古い理論とみなされがちですが、特に不況下において、その有効性が見直されることは少なくありません。




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