販売促進における「マス・メディア」の影響とは?!

マス・コミュニケーション論(英:mass communication)は、戦時中の特定の思想・世論・意識・行動へ誘導する意図を持った行為…
いわゆるプロパガンダ研究などから始まったといわれます。

当時普及が始まりつつあったラジオや映画といったマス・コミュニケーションを可能にするメディアの存在は、為政者にとって極めて興味深いものでした。
特に兵士を鼓舞し、彼らの士気を高めるにあたって、これらは魅力的なツールだったわけですね。

当初、ラジオや映画といったマス・メディアの力はとても大きいものだと考えられていました。
実際に、そういった印象を強める事件も起こっています。

1938年、アメリカのラジオ放送局が放映したドラマ「火星からの侵略」は、それを事実だと信じた人々が大きなパニックに陥ることになりました。
火星人が本当に地球侵略を開始していると理解されてしまったのです。

こうした経緯もあり、マス・メディアから流れる情報に対して、その受け手は強く反応するものだと考えられたのでした。
このような初期の考え方を、強力効果論や弾丸理論と呼びます。
送り手から発信された情報が、受け手を弾丸のように打ち抜くというわけです。

しかし、徐々に調査が進み、また時代を経る中でマス・メディアが一般化していくと、マス・メディアの力はあくまで限定的なものであると考えられるようになっていきます。
総じて限定効果論と呼ばれるこの考え方は、今でも基本的な考え方として続いています。

限定効果論は、決してマス・コミュニケーションの力が弱いということを主張するわけではありません。
例えば、興味深い効果として、アジェンダ設定効果と呼ばれるものがあります。

マス・コミュニケーションは、受け手の考え方や賛成反対といった意見にまで影響を及ぼさとは少ないが、今何を考えるべきなのか、すなわちアジェンダ(検討課題)は何であるのかを決める力があるというわけです。

最もわかりやすい例は選挙でしょう。
かつて、郵政選挙と呼ばれる総選挙がありました。
小泉政権時代のことです…

当時、郵政事業の民営化に賛成か反対かという二者択一を問うた選挙だったわけですが、考えてみれば、総選挙である以上、もっと様々な論点があったはずでした。
経済問題、教育問題に、あるいは政治とカネ…
しかし、当時のマス・コミュニケーションの力は、こうした様々な選択肢の存在をかき消してしまい、郵政問題を大きなアジェンダ(課題項目)として構築したのでした。

アジェンダ設定効果という考え方は、テレビを中心としたマス・コミュニケーションのイメージにうまく合っています。
限られた時間の中で取り上げられる情報の質や量はどうしても限られてしまいます。
そうした情報が、あたかも問題のすべてであるかのように捉えられてしまうというわけです。




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マス・メディアが与える影響



お話したようなマス・メディアの効果は、他にも涵養理論(かんようりろん)として知られているものがあります。
涵養とは自然にしみこむように、養成することです。
涵養理論では、長期間マス・コミュニケーションを聞き続けることによって、受け手はいつの間にか影響を受けるようになると考えます。

短期的にアジェンダを設定されてしまうというだけではなく、長期的な影響の中で、あたかもマス・コミュニケーションから提供される情報が世界のすべてであるように見えてきてしまうというわけです。

例えば、テレビで放映されるドラマの主人公は、多くは若くて強い人々です。
しかし、現実には、彼ら以上に多くの子供や老人といった多様な人々が存在しています。

あるいは、テレビのドラマでは毎日のように大きな事件が起こります。
殺人事件も日常茶飯事です。
しかし現実には、少なくとも日本では、それは多くの誇張を含むはずです。

涵養理論の考えに従えばテレビを中心としたマス・コミュニケーションは、受け手に対して、ゆっくりと現実とは異なった世界像を与えていくことになります。
ネットの時代とはいえ、こうした基本的な傾向は変わらないようです。
インターネットもまた、マス·コミュニケーションのツールとなり得ます。

例えばネット上の情報は過激な情報に偏る傾向があるともいわれてきました。
ネットの情報ばかりに触れていると、それが世界のすべてであると思いかねません。

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