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長年、会社で働いていれば、いつかは退職の日がやってきます。
退職と言えば、色々と考えることはありますが、「退職金」も気になるとことかと思います。
さて、その退職金ですが引継などをしないで退職日まで有休を消化していると、退職金を減額できるという話もあるのです。
そこで、ここでは大事な大事な「退職金は減額できるのか?」、また「違法でないのか?」ということについてお話したいと思います。
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引継しないと退職金を減額するのって違法じゃない?!
結論から言えば、就業規則に退職金を減額する定めがあれば可能です。
つまり違法でありません。
しかし就業規則にその旨を盛り込むには、慎重な判断が求められます。
当然、就業規則にも記されておらず、理由なしに退職金を減額することはできません。
退職時の有給休暇を使うことができる!?
退職前に有給休暇を請求し、全て休んでしまう労働者がいますが、しかしこの休暇は在籍期間中であれば使うことができます。
もうじき退職だからと拒否することはできません。
また、たとえば14日後に退職となる労働者が14日の有給休暇を請求してきた場合、引継ぎのため5日間の時季変更権を会社が行使したとしても、退職後に有給休暇を付与することはできないため、時季変更権もできないことになります。
さらに労働基準法(第136条)では、有給休暇を取得した労働者に対して、賃金の減額その他不利益な取扱いをしてはならない…
と定めています。
退職金の支給条件を就業規則などで明確に定めた場合は、法律上は退職金も賃金に該当します。
有給休暇を使って退職日まで休み続けたとしても、それを理由に退職金を減額することは許されません。
退職金の減額と裁判例
退職金を支払うのかどうか、どういう条件で支払うのかは当事者間の取り決めによります。
そのため、経営秩序を著しく乱し、懲戒解雇になった労働者に対しては、退職金を減額または不支給とすることもできますが、減額、不支給を定めた場合でも無制限に認められるわけではありません。
特に全額不支給とする場合は、在職中の功労を全て失ってしまうような重大な行為があったかどうか、慎重に判断することになります。
最近の裁判例は、懲戒解雇に伴う退職金の減額・不支給を定めた就業規則の適用を厳しくチェックし、その適用を認めるのは、重大な背信性がある場合に限定しています。
業務の引継ぎをしなかったことが、永年の功労を抹消し、重大な背信性があると認めることは難しいと考えられます。
退職者への対策
退職時の有給休暇の請求は労働者の権利なので認めざるを得ません。
退職前に業務の引継ぎを行ってもらうためにどうするのか、についての対策を講じることの方が重要です。
考えられるのは次の2つです。
➀本人と話し合い、退職日を先に延ばす。
たとえば、月の中旬に月末付けで退職の申出があり、退職日までの期間について有給休暇の請求があった場合、引継ぎに10日かかると予想されたときは、翌月10日以降に退職日を本人の同意を得て変更してもらう。
➁引継ぎを優先し、未消化の日数を買い上げる。
➀の内容で退職の申出があった場合、10日を引継ぎの期間として、月末までに未消化の有給休暇が残ったとき、本人の同意を得てその日数分を買い上げる。
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まとめ
有給休暇の買い上げは違法ですが、時効で消滅する日数を買い上げることはできます。
また、引継ぎを行ってから退職することを労働者に周知しておくことは会社側にとって重要なことでもあります。
単純にそのことを知らないで、引継をしないで退職日まで有休を使ってしまう人もいるでしょうから。
そして、退職の申出を余裕のある期間に規定しておくことも大切です。
これは退職者と会社側の人間関係などにも左右されることですが、就業規則にその点を明記してあるだけでもかなり違ってくるはずです。
引継を一切せずに退職日を迎えた残された会社側の人間…
そのために違法ではない手段で退職金を減額された退職者…
双方ともにデメリットが生じてしまうことは避けたいでしょうから。
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