目次
マネジメント(management)…
この言葉には、戦略的マネジメントやITマネジメント、マーケティングマネジメントなど、様々なものがあります。
中でも今回はドラッカーの語る「組織マネジメント」とは何か?…
この点についてお話しましょう。
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ドラッカーの語る「組織マネジメント」とは何か?
創業以来、順調に伸び、市場でそれなりの地歩を占めた企業が、突然、成長を止めることがあります。
ドラッカーは、その原因の大半はマネジメントの欠落にあるとしています。
つまり、企業の成長速度にそれまでの経営体制や経営幹部の能力がついていけなくなった状態です。
よく見られるのが次のようなケースです。
創業当初は、経営者を中心とした突撃隊のような会社で、まだ組織の体をなしていない…
ただ、それだけに意思決定は速く、機動力もきくのでスピードを武器に成長してきた。
しかし、次の成長段階に入ると、勢いだけではそれ以上に伸びることができなくなります。
組織としても、カリスマ創業者によるワンマン経営ではもはやコントロールできなくなっています。
内部の能力以上に事業が大きくなってしまったからです。
こういうとき、チームによるトップマネジメント、すなわちトップチームの形成(集団経営体制による組織の近代的運営)が必要となります。
ワンマン体制から「組織マネジメント」への移行がうまくいかなかったり、その時期を逸すると、成長どころか企業の存続もあやうくなることがあります。
かつて天才・西和彦をリーダーとするアスキーは、ワンマン体制で破竹(はちく)の勢いでコンピュータ業界を席巻していましたが、事業領域の拡大をめざす社長とそれに反対する勢力との争いによって何度も苦境に陥りました。
ワンマン体制から集団マネジメントへの移行がうまくいかなかった例です。
ドラッカーは、互いに理解と信頼に基づいたチームが機能するまでには3年以上はかかるので、成長期に入った企業は、事前にトップチーム形成の準備にとりかかる必要があると言っています。
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トップチーム形成に必要な準備とは?
では、トップチーム形成には、どんな準備が必要なのでしょう。
ドラッカーは次の3点を主張しています。
➀創業者と幹部が自社の重要な事業活動について再検討し、事業の方向性を明確にし、経営幹部の合意を形成する
➁主な幹部の強みや得意分野をはっきりさせる
➂各自の強みに応じて、それぞれ最適な担当分野を決める
このとき肝心なのは、ある分野について経営責任者以上の能力と実績を持った人材がいるなら、その人をその分野の責任者にすることです。
つまりワンマン体制を意図的に壊して分業体制を敷くことがトップチームを組むときの原則だとドラッカーは言っています。
これは、意外に難しいことです。
トップがワンマンであればあるほど、分業制への移行を嫌うからです。
ある不動産会社では、営業のカンにすぐれた創業者が町の不動産屋を歩きながら、これぞという物件を見つけると、その場ですぐに購入する方法をとっていました。
原始的なやり方ですが、事業にはスピードがありました。
ところが、株式公開を控えて社内の人事体制を整備したとたん、物件購入には財務部長の決裁が必要になり、それを面倒くさがる社長と財務部長の間の対立が目立って、社内のマネジメントがぎくしゃくしてきました。
こんなケースも現実には少なくありません。
ベンチャー企業にとって、近代的な集団経営体制への移行は難しい問題です。
しかし、それは企業のさらなる成長と継続に不可避のことです。
必要な時期がきたらトップチームを組織して、成長期にふさわしいマネジメントシステムを整える必要があることは、ドラッカーの指摘を待つまでもありません。
言い換えると、市場志向、財務政策に続く、ベンチャー企業の三番目の成長要件は、この「経営人材の整備」にあるのです。
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