「ターミネーター」が実現する可能性が高いと言われる理由

人類にとっての脅威になるかもしれない「自律型ロボット」のわかりやすい例としてよく挙げられるのが、藤子・F・不二雄氏が生んだ猫型ロボット・ドラえもんと、映画「ターミネーター」に登場するT-1000などのサイボーグではないでしょうか。

現在、私たちが手にすることができている自律型ロボットは、お掃除ロボットなど限られた能力しか備えていないものですが、このままロボット分野における技術が順調に発展していけば、「四次元ポケット」を持つドラえもんを作るのは厳しいにしても、いつの日か、ターミネーターレベルのロボットなら実用化することができるかもしれないのです。

そう聞くと、映画「ターミネーター」を観たことがある人なら、「ターミネーターレベルのサイボーグだってすぐには無理だろう…」と鼻で笑うかもしれません。
というのも、あの映画に登場するサイボーグたちに使われている科学技術は、とてもじゃないが、すぐには実現できそうにないものばかりに見えるからです…

例えば、主演のアーノルド・シュワルツェネッガーが演じたT-800は、チタン合金製の骨格が「細胞組織」によって覆われたサイバネティック生物という設定になっています。
つまり、あれは「人工皮膚」が使われているのではなく、生きた細胞なのです。
もちろん、生きた細胞で金属製の骨格を覆う技術は、未だ開発されてはいません。

加えて、T-800の宿敵として有名なT-1000が持つあの「液体金属」のボディ…
金属であるにもかかわらず、液体のように自由自在に形状を変えることができるあの素材はどうやって開発すればいいのか、どう考えても、あんなものをすぐに開発できるようには思えない、という人が大多数ではないでしょうか。

そもそも、液体金属の前に、T-800が持つあの二足歩行する人型の「金属製骨格」…
あれと同じような骨格を作り上げて、正確に二足歩行させるだけでも、現在の技術ではちょっと難しいのではないか、と思ってしまいます。

二足歩行するロボットと聞いて、多くの方が思い浮かべるのはHONDAのASIMOでしょう。
確かにASIMOは愛らしい二足歩行ロボットですが、ASIMOとT-800では、その性能に雲泥の差があるのは明らか…

T-800並みのサイボーグを開発するには途方もない時間と労力、そして革新的なイノベーションが必要になりそうだと、多くの方は、そう思っているに違いないでしょう。

ところが、実は、現代のロボット技術の進歩は目覚ましく、ターミネーターレベルのサイボーグは、私たちの想像よりもはるかに早く実現する可能性があるのです。




Sponsored Links
まず、T-800に使われている「金属製骨格」…
アメリカ合衆国のロボット開発企業であるボストン・ダイナミクス社(2013年グーグルにより買収)は、2013年7月、開発中の捜索救難用二足歩行人型ロボット「Atlas(アトラス)」を公開しました。

アトラスは、凹凸のある地面を歩行したり、横から9キロのおもりをぶつけられても倒れないようにバランスを取ったりすることができるといいます。
アトラスの前身のPETMANというロボットが歩いている様子を動画サイトで観ることができますが、かなり人間に近い動きをしているように見えます。

また、金属製骨格を覆わせる皮膚についても、曲げ伸ばしが可能なシリコンセンサーを備えた合成皮膚の開発が各国で進んでいます。
スタンフォード大学が研究開発したモデルは、「蝶の体重」を感知することができるというから驚きです。
このまま技術革新が進めば、いずばれサイバネティクス生物の実現まで到達することも不可能ではないかもしれません。

ターミネーターに用いられている技術で、最も絵空事のように思える「自由に形を変えある液体金属」…
しかし、実はその実現に向けての突破口がすでに開かれているのです。

2014年、アメリカ・ノースカロライナ大学の研究者たちは、極めて大きな表面張力を持つガリウムとインジウムの合金に、微弱の電力を加えると様々な形に変えることができることを発見しました。
研究がさらに進めば、近い将来、T-1000のような形を自由に変えることができるサイボーグが登場するのも夢ではないかもしれないのです。

とはいっても、サイボーグの外側だけが進化したところで、中身(人工知能)が進化しなければ、ターミネーターそっくりのサイボーグを実現させることは難しいでしょう。

ただ、その点もiPhoneの秘書機能アプリ・Siriなどに搭載されている技術「ニューラルネットワーク(人間の脳の神経回路を模したモデル)」の進歩により、自己学習機能を持ち、人間と同様のコミュニケーション能力、感情表現、ひいては創造性までも備えた人工知能が近い将来実現するかもしれないのです。

そうなると、私たちが生きている間にターミネーターレベルのサイボーグが人間と一緒に街を歩く光景を見ることも、十分にありうる話ではないでしょうか。
もしターミネーターレベルのサイボーグが実現しても、できれば平和利用だけにして欲しいものですが…




Sponsored Links

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

PR

PR

ページ上部へ戻る