ニーズを調査するためにはどのようなリサーチが望ましいか?

マーケティングは顧客の必要に応えるための諸活動ですが、その具体的な実現にあたっては、いわゆるマーケティング・リサーチ、調査が重要になります。
マーケティングとはマーケティング・リサーチのことだと考えている方も少なくないようです。

その具体的なイメージは、様々な数値データを収集し、数式や統計手法を駆使して分析を行い、求められる結果を示すというところでしょうか。
もちろん、マーケティング・リサーチとは、こうした統計手法による分析も含んでいます。

しかし、例えば、顧客に直接インタビューを行うことや、店頭での買い物動向を遠くから眺めながら調べることもまた、立派なマーケティング・リサーチです。
これらは、収集されるデータの質の違いを示しているにすぎません。

様々な数値データは、一般的に定量データと呼ばれます。
これに対して、インタビューを通じて集められた顧客の声などは、定性データと呼ばれます。

マーケティング・リサーチにおいて最も重要なことは、明確な目的を持つということです。
すなわち、なぜマーケティング・リサーチを行うのか、その目的は何であるのか、この目的がはっきりとしていない限り、定量データを集めるべきか、それとも定性データを集めるべきか、あるいはどのように分析すればよいのかを決めることはできません。

そもそも、顧客のニーズに応えることがマーケティングであるのならば、顧客が必要としているモノやコトについて、直接聞けばいいと思うかもしれません。
しかし、この方法でうまくいくことはほとんどないはずです。

例えば、顧客に何を必要としているのか直接聞いてみるとしましょう。
どこでもドアやタケコプターが欲しいといったらどうすればよいでしょうか。

そのような非現実的な製品は作ることができないと断るのでしょうか。
あるいは、新しいパソコンを開発するという際に、顧客にどんなパソコンが欲しいですかと聞いたとしましょう。

「iPad」のようなパソコンが欲しいといわれたら、どう対応すればいいのでしょうか。
おそらく、iPadのようなパソコンを作ったところで、iPadもどきといわれるだけでしょう。
ようするに、これらは目的がはっきりとせず、質問の仕方が悪いのです。




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仮説を立て指標を見つけてデータを収集をする意味


意味あるリサーチを行うためには、まず目的をはっきりとさせます。
何のためにリサーチを行うのか、そして、何が明らかになれば目的が達成されたことになるのか。

例えば、新しいパソコンを開発するにしても、顧客が何を必要としているのかを仮説として持つ必要があります。
朝の通勤電車で電子書籍を読みたいと思っている人々が多くいると考えるのであれば、その理由を前もって仮説として構築しておく必要があります。

そうすれば、単純に電子書籍を読みたいという人の数を数えるだけではなく、なぜそう考えているのか、それは他の類似したサービスの提供とはどう違うべきなのか、様々なマーケティングの指針となって見えてくるはずです。

調査の指標は目的に応じて様々です。
特に、定量的に分析を行うという場合には、それなりの工夫が必要になります。

ある水族館の顧客満足度調査では、来館する子供の満足度を調べようということになりました。
しかし、子供から細かい内容を聞くことはできませんし、アンケートに答えてもらうことも困難です。

そこで彼らは、水族館のガラスがどれだけ汚れているのかを指標として捉えることにしました。
手の指紋の数や、子供が顔を近づけた結果残される鼻の脂の跡など、これらを子供の満足度の指標として考えることにしたのです。
代理指標と呼ばれますが、調べたいと思っている内容をうまく表現する指標を見つけ出したり、作り出したりすることが調査では重要になります。

こうして明確な目的や仮説を持ち、データが集められることによって、自分たちの仮説が正しかったのかどうかを知ることができます。
この際、最も重要なことは、仮説が支持された場合よりも、仮説が裏切られた場合に注目するということです。

仮説の多くは、私たちの常識の範囲で作られがちだからです。
みんな電子書籍が欲しいだろう、薄くて、大容量で、軽量で、見やすければなおさらだろう。
これは、きっと調査するまでもない常識的な仮説です。

しかし、実際に調査すれば、この仮説が裏切られることになるかもしれません。
それこそがチャンスなのです。常識を打ち破り、新しい価値を提供できるかもしれない、そんなきっかけが予想外の結果には含まれています。

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