マーケティングとイノベーションの関係について考えた件
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市場志向型組織を構築することで、企業は業績を上げることができます。
具体的には、収益性、顧客からの「ロイヤルティ」、従業員の「コミットメント」、さらには「イノベーション」に対してよい影響を与えると考えられています。

まず最も大事なものは、直接的な企業の収益です。
市場志向の組織作りがうまくできている企業では、収益性が高まります。

研究では、事業担当者の直接的な感覚として収益性が高まっていると感じられているだけでなく、客観的な指標であるROA(総資産利益率)なども確かに高まることが示されています。
もちろん、厳密にいえば、業績のよい企業が余裕をもって市場志向の組織づくりを行っていると考えることもできますが、それでも少なくとも、市場志向と収益性の間に正の相関があることは間違いありません。

この結果は、一般的に環境の状況に依存しないという点も特徴的です。
市場の変化が激しくとも、技術の進化が早くとも、市場志向を備えた組織の業績は高いというわけです。

市場志向が企業の業績に与える影響は他にもあります。
まずは、市場志向の組織に対しては、顧客からの評価が高まり、強いロイヤルティを得ることができるようになります。

顧客のことを考えている組織の方が、顧客にとって望ましいことはいうまでもありません。
ロイヤルティは、継続販売につながる重要な指標です。

同時に興味深いのは、市場志向の組織作りがうまくできている企業は、その組織で働いている従業員のコミットメントも高まるという点です。
市場のことを考えている組織の方が(すなわち自分のことだけを考えているのではなく)、組織内部の従業員のやる気や忠誠心が上がります。
このことは、マーケティングという考え方が、多くの人々に根付きつつあることを示していると言えそうです。

以上の3つの点、企業の収益性、顧客のロイヤルティ、従業員のコミットメントが高まるということが、まずは市場志向の大きな成果になります。これらは、いずれも企業にとって重要な要素であることはいうまでもないでしょう。




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それからここではもう1つ、市場志向が高まることによってイノベーションが促進されるという研究成果を紹介しておきたいと思います。
組織にとって、持続的にイノベーションを起こし続けられるかどうかは極めて重要な課題です。

このとき、ややもすれば、イノベーションは技術開発に直結しやすく、市場志向とは無縁であるかのように見えがちになります。
技術については特段知識のない顧客から話を聞いても、新しいイノベーションはないというわけです。

しかし、実際には、市場志向であることがイノベーションを促進させます。
この背景には、市場から集められた情報こそが、イノベーションの源泉となる時代になったのだという点を指摘することができます。
消費者参加型製品開発はその典型でしょう。

ただし、これはもちろん、市場ニーズに応えることがイノベーションにつながるのだと単純にいっているわけではありません。
顧客のニーズそのものが不明瞭で自明のものではなくなりつつある近年では、ニーズとイノベーションの関係は複雑です。

両者がそれぞれ独立したものではなくて、相互に作用し、関連し合っているのだということを考慮しておくことは大事だといえます。
技術的なイノベーションであっても、それが顧客のニーズに合致してこそ、真のイノベーションです。

マーケティング活動を基礎とし、顧客のニーズに応えることを文化とした組織を構築することは、こうして組織にとっても大きな価値をもたらすことになります。
その実現にあたっては、やはり組織全体、特にトップマネジメントの力が必要です。

例えば、資生堂ではコールセンターが本社に置かれているとともに、マーケティング会議ではコールセンターからの議題が最初のテーマとなるといいます。
こうした仕組みの構築は、トップがマーケティングを理解し、実行しようとする中で可能になるものです。

トップや組織全体から支援されることによって、個別のマーケティング活動はいよいよ顧客のニーズに応えるべく活動できるようになります。
マーケティングは単なる販売促進のツールではありません。
企業のための思想なのです。
マーケティングは企業戦略にもつながっているのです。




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