もし「ブラックホール」に吸い込まれたらどうなるの?
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ブラックホールといえば、宇宙空間に存在する巨大な穴で、何でも吸い込み、そこに飲み込まれたものは二度と出てくることができない…
おおよそのイメージとして、こんなところではないでしょうか?…
しかし「何でも吸い込む」というのは誤りなのです。

そもそも、ブラックホールとはどのようなものなのでしょうか?…
まず、天体を脱出するためには、その天体の重力を超える速度が必要です。
そのために必要な最低の速度を「脱出速度」といい、例えば地球では秒速11km、太陽では秒速600kmの脱出速度が必要となります。

さて、ここで、質量はそのままに半径の小さくなった太陽を想像してみましょう。
天体表面の重力の大きさは、半径の2乗に反比例していきます。

太陽と同じ質量で、半径は太陽の100分の1の天体では、脱出速度は秒速6000km必要になり、これを更に押しつぶし、半径を小さくしてやると、更に大きな脱出速度が必要となり、最終的には秒速30万kmの光速をも超えてしまうのです。

太陽の場合では半径3km以下に押しつぶすと光すら脱出できなくなってしまい、光がギリギリ脱出できなくなる境界のことを「事象の地平面」と呼び、その半径のことを「シュバルッシルト半径」と呼んでいます。
この世で光より速い物質は、まだ観測されていませんので、事象の地平面を超えるとあらゆるものが脱出できなくなる。

つまり、端的にいうと、ブラックホールは周りのものを吸収しているのではなく、近づいた物質が脱出できない状態に陥ってしまうため、吸収しているように見えるだけなのです。




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ブラックホールに人が近づいた場合…
すなわち物質が事象の地平面に近づいていく時、それを見ている観測者からはどのように見えるのでしょうか?

これには諸説あり、近づいた物体が引き延ばされたり、一瞬で押しつぶされたりするなどといわれていますが、アインシュタインの相対性理論に照らして考えてみると驚きの事実が見えてくるのです。

まず、相対性理論では、強い重力場にいるものは、それより弱い重力場にいるものより時間
の進み方がどんどん遅くなっていくということを念頭に置いていただきたいと思います。

そのうえで、ある人が事象の地平面に近づいていくとします。
その人は強い重力場へ近づいていくことになるので、それより弱い重力場にいる観測者から見ると非常にゆっくりと事象の地平面に近づいていくことになります。

事象の地平面に近づくにつれどんどん重力は強まり、それにより近づく速度はどんどんゆっくりに見え、最終的には事象の地平面に達する瞬間で止まって見えることになるといいます。
つまり、観測者からは、その人がブラックホールに入っていくところを観測することすらできないのです。

このことから考えると、ブラックホールに入っていったあらゆるものは、観測者から見れば事象の地平面で止まっていることとなり、その意味ではまだ事象の地平面を越えたものは観測されていないという考え方もあります。
まだまだ謎の多いブラックホールですが、そもそも人間の目は光を通して物を見ているのに、光すら脱出できないブラックホールがなぜ、見えるのでしょうか?

事象の境界面を越えそうになった物質同士は摩擦を起こして高温のX線を放射します。
シュヴァルツシルト半径に飛び込んだ物質はそのまま事象の境界面を越え、観測不可能になりますが、なんとかシュヴァルツシルト半径に入らなかったものは、高温のX線を出しそれが光って見えるのです。

つまり、ブラックホールそのものは見えませんが、周りの物質が光ることによって観測できるのです。
このことからも、事象の地平面を越えると光すら発することのできない状態となり、あたかもブラックホールが物質を吸い込んだように見えてしまうことがわかります。




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