「試用期間」開始して14日以内に解雇されたら解雇手当はない?!

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新たな会社に入ったとき「試用期間」がある場合があります。
つまり企業側が「この新しい社員は大丈夫かな?」、「使える人材かな?」などを試す期間のことです。

基本的には「試用期間」が終れば正式に本採用となるわけですが、中には、この試用期間中に解雇される可能性もあるのです。
今回は「試用期間」中の「解雇」について学んでおきましょう。




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試用期間であれば解雇は自由?!


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試用期間中の解雇は十分にあり得ます。
というのも試用期間中の職務行動から適格性等を見て、本採用を拒否した場合は「解雇」に相当するからです。
解雇として有効かどうかは「解雇の正当性」が問題になります。




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試用期間を開始して14日以内に解雇されたら解雇手当はない?!


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そもそも試用期間はどんな意味があるのでしょうか?…
従業員を採用するに当たり、履歴書の記載と一、二度の面接だけで、その人の能力や適性を判断するのは極めて難しいものです。
このため、初めから正式の本採用とせず、定期間を定めて適格性を見極めるための試用期間が設けられるのが一般的です。

法律的には試用期間は労働契約なのですが、「解約権を留保した労働契約の期間」と考えられており、試用期間中は解約権が留保(権利・義務を、残留・保持すること)されています。
一方で本採用を拒否されないまま試用期間が経過すれば、特段の意思表示がなくても、そのまま通常の労働契約に移行するのです。

しかし試用期間中、あるいは終了後に本採用を拒否した場合には「解雇」に該当し、試用期間中であっても「解雇の正当性」が問われることになります。
解雇する場合は「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない場合」は「解雇権の濫用」とされ、解雇は無効になります。
これは労働契約法第16条に定められています。

試用期間中の解雇は、「通常の解雇より広い範囲での解雇の自由」が認められておりますが、例えば「なんとなく気に入らないから」、「やる気が見られない」といったような理由では「客観的に見て合理的な理由」とは認められません。
本採用拒否の正当な理由としては、「試用期間前には知ることができず、また知ることが期待できないような事実を知ったために、その者を会社に雇用しておくのが適当でないと判断される場合」に限られます。

試用期間は、教育や指導を行う期間でもあるので、単に不適格事由があったとしても、その期間中にどのような教育や指導を行ったかが問われます。
労働者から見ても、試用期間中に何も言われなければ本採用されるものと期待していますので、突然本採用拒否を申し渡すと、その期待が裏切られトラブルに発展することになりかねません。

試用期間中に十分な教育や指導を行って、普段から本人の不適格性を指摘して、さらに教育や指導を重ねてもなお最終的に本採用拒否と判断した場合には、合理的な理由の存在や相当性の主張に対する説得力が増すものと考えられます。
ですので後日のトラブルを防止するには、試用期間中の本人の状況とそれに対する会社側の行った指導状況を記録しておくことも必要です。

そもそも試用期間が終了した後は、正社員として活躍してもらうことが前提ですので試用期間中の教育や指導は、本来欠かせないものなのです。
加えて「解雇の正当性」が認められ解雇する際は、30日前に解雇予告を行うか、30日分の解雇予告手当を支払わなければなりません。
ただし、試用期間開始後、14日以内に解雇した場合は解雇予告手当の法的支払義務はありません。

この点は労働基準法第20条と第21条第1項4号に示されていますので、試用期間を開始して14日以内に解雇されたら解雇手当はないものと考えて方が良いでしょう。
なお試用期間中でも、労災保険や雇用保険、社会保険(健康保険、厚生年金保険)の加入基準を満たしていれば、本採用後ではなく採用当初から加入しなければなりません。

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