ビジネスの世界では日夜、様々な「決断」が下されています…
しかし仕事において、実は「決断」を下すべきではないのです。
「決断」という言葉が格好よく聞こえるためか、日本人はやたら「決断」したがりますが、決断とは要するに、最終段階になっても少しも絞り込めていない膨大な選択肢の中から、「えいやっ」と一か八かでたった一つを選び出すようなものです。
清水の舞台から飛び降りる気持ちで、などといいますが、そんな「決断」をしなければならない状況に陥ったら、その時点でビジネスはほぼ失敗と考えるべきです。
決断するような事態を招いたとしたら、それはそこに至るプロセスの途中で解決しておかなければならない問題を、放置していた結果だからです。
最初はほんの小さな問題でも、「たいしたことじゃない」、「あとからでも何とかなる」、「もう少し勉強してから」などと先のばしにしていると、それはやがて起こる大問題の火種となります。
問題というのは、放置すると他の問題と次々にくっついていき、拡大化して、気づいたときには大火事を起こすのです。
火事が起きたら、どんなのんびり屋も手をこまねいているわけにはいきませんから、緊急に「決断」し、手を打つ必要に迫られるでしょう。
もっとも、緊急策が打てたとしても、火が出たことで被った損害は甚大なものになっているはずです。
しかも、それは「対症療法」にすぎません。
「再発防止策」が打たれない限り根本的な部分での解決にはなっていないのです。
火種はくすぶったままで、またいつ火を噴くか戰々恐々、という状況です。
根本的に解決したくても、問題の根が深すぎて、多くの時間と多大な労力が必要となります。
しかし一方では、デイリーワークに追われて大忙しなため、緊急策以上の手を打っヒマがなく、苦しいだけの状況が永遠と続くことになります。
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古びたパイプラインを想像してください…
すでにあちこちがひどくひび割れ、水漏れも激しいものです。
しかし、他の仕事が忙しくて徹底的に直す時間がないのです。
テープを貼って応急措置をしたものの、すき間からぽたぽた水がこぼれてしまいます。
周囲は湿気でむんむんとし、嫌な臭いまで漂い始めてしまいます。
このパイプは、もうリカバリーできません。
できることはただ一つ…
「パイプラインをごっそり新しいものに取りかえる」ことだけです。
そして本来なら、仕事が停滞してしまうような事態にならないように、ひびが小さなうちに即修繕し、こまめにメンテナンスするなど事前に手を打たなくてはならないのです。
ビジネスも同じです。
小さな失敗や計画のズレが出たら、その都度「判断」し、修正する…
修正することで新たなミスやテコ入れすべき部分が見えてくるので、さらに「判断」して修正する。
こうした「小さな判断の積み重ねをプロセスの途中で順次確実に、しかも徹底して繰り返す…
そうすれば、「決断」しなければならない事態を招くことはありません。
問題は小さなうちに判断し、解決しておく…
そのうえで、万が一パイプラインを新規のものに入れ替えなければならなくなっても、それは「前向きの投資」ということになるのです。
しかも、小さな判断を重ねている間に入れ替えの準備も相当進んでいるものなのです。
そうして実直に判断を積み重ねるのが、エッジの効いたビジネスマンの仕事のやり方と言えるでしょう。
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