リカードの「比較優位の原理」を簡単に説明してみる!

経済学の黎明期である1800年代初頭に活躍したイギリスの経済学者、「リカード(デヴィッド・リカード)」は、グローバル・ビジネスや選択と集中の効用を説く「比較生産費説」を発表しました。

この中でリカードは、「二国間の貿易において、各国が相対的に低費用で生産できる財の生産に特化し、貿易を通じて相手国から輸入すれば、両国とも貿易を行わなかったときよりも多くの利益を得ることができる」ことを証明したのです。
これが「比較優位の原理」と呼ばれるものです。

たとえば、世界に日本とアメリカの二国しかなく、生産消費されている財は自動車と小麦しかないというケースで、比較優位の原理を見てみましょう。
生産コストを単純化するために、日本では一人の労働者で一台の車をつくることができ、二人の労働者で一トンの小麦がつくれるとします。

一方、アメリカは四人の労働者で一台の車がつくれ、三人の労働者で一トンの小麦をつくることができる…
さらに両国とも労働者の数は、この人数しかいないと仮定します。

このケースでは、車も小麦もともに日本でつくるほうが効率的に思えます。
しかし、リカードは、一方の国が両部門で絶対優位であっても、各国が相対的に得意な分野に特化して貿易をすることの方が望ましいことを示したのです。

日本が相対的に得意なのは車であり、アメリが相対的に得意なのは小麦です。
これを比較優位といいます。
したがって日本の比較優位は車、アメリカの比較優位は小麦となります。

そこで両国とも比較優位に集中し、捨てたものは貿易によって補い合うこととします…
日本では三人で車をつくることとなり、アメリカでは七人で小麦をつくることになるのです。

すると、生産量はどうなったのでしょうか?…
比較優位に徹しない前は、日本では車一台、小麦一トン、アメリカでも車は一台、小麦も一トンでありました。
合計で車二台、小麦二トンです。

しかし、比較優位に徹すると、日本で車三台、アメリカで小麦約二・三トン生産できます。
つまり、両国が比較優位の生産物に特化したため、両国合わせて車は一台、小麦は〇.三トン分生産量が増えたことになるのです。

そこで両国とも余った分を輸出することで、自給自足よりも豊かになる…。
これが自由貿易、ひいてはグローバル·ビジネスの利点だとリカードが明らかにしたのです。

この比較生産費説が今日、経営の世界で注目されるのは、多国籍化した企業において、一企業単位で比較生産を行うことより、企業体質を強化することができるからです。
その好例が1980年代のGEでしょう…

当時のエレクトロニクスメーカーのGEは、金融業をはじめ航空機部門など多くの事業を抱え、業績は下降の一途を辿っていました。
そこでCEOであったジャック・ウェルチは、業界三番手以下の事業はすべて売却したのです。

この比較優位のモノに経営資源を集める戦略で、GEは見事に業績を回復させることに成功しました。
これはリカードの「比較優位の原理」をグローバル企業が活かすことができた好例とも言えるでしょう。




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