もし会社の業績悪化が原因で、上司からある日突然「明日から来なくていいよ」と解雇されてしまったら…
あなたはどうしますか?
異議を申し立てをするでしょうか?
そもそも、こんな話はまかり通るのでしょうか?
まったくひどい話ですが、悲しいかな現実にはしばしばあります。
そもそも解雇とは、社員は辞めたくないのに会社が「一方的に労働契約を解消すること」を指します。
試用期間の終了に伴い、本採用せずに辞めさせることや、会社側の都合で学校卒業予定者の採用内定を取り消すことも「解雇」です。
そもそも解雇には「普通解雇」、「懲戒解雇」、「諭旨(ゆし)解雇」の3つがあります。
最後の諭旨解雇とは、懲戒解雇にしない代わりに自主退職を求めるものです。
さて上述の例は普通解雇の例となります。
普通解雇には、「経営上の理由にもとづく解雇→整理解雇」と「それ以外の解雇(労働者の能力・適性欠如などを理由とするもの)」があります。
会事は会社側による一方的な労働契約の「解雇」のことですから、無条件に認められては労働者もたまりません。
これが認められるには、四つの要件があります。
➀まず、a社員の業務上の負傷、疾病による休業期間とその後30日間、b産前産後の休業期間とその後30日間は解雇が禁止されます(労基法19条)。
これを「解雇禁止事由」といいます。
➁次に、労働者を解雇する場合には、少なくとも30日前に解雇予告をしなくてはなりません(ちなみに30日以上前であれば、いつ予告をしてもかまいません)。
あるいは、これにかえて30日分以上の解雇予告手当(平均賃金)を支払う必要があります。
これを組み合わせて、たとえば予告を10日前にして、残りの20日分の解雇予告手当を支払う、ということも可能です(労基法110条)。
➂また、解雇の際には解雇の事由等が就業規則で定められていなくてはなりません。
従業員10人以上の事業場ならば、解雇の事由等を就業規則に定めることが義務づけられています(労基法89条1項3号)。
また、労働組合と結んだ労働協約に解雇について定めてある場合は、これを守らなければなりません。
ただし、これらの規定が定めてあったとしても、
➃その解雇に合理的な理由、相当性がない場合には、解雇は無効となります。
これは「誰が考えても解雇されるのはやむを得ない」という理由があることをいいます。
以上の4つの要件をすべて満たして、初めて解雇は成立するわけです。
ですので、上述のように「明日から来なくていいよ」というならば、少なくとも30日分の解雇予告手当は支払われねばならないのです。
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