ドラッカーの名言「すでに起こった未来」とはどういう意味?

ご存知のように、マーケティングの役割は端的に言えば「未来予測」にあります。
将来、起こるであろう購買動向や新しい市場を現在のデータから予測して、それを企業活動に反映させることです。
しかし、この未来予測は不確実性とリスクが大きすぎて不可能であるとドラッカーは言っています。

ですので私たちがすベきことは、明日のために今日何をすべきかを考えることではなく、「すでに今日に含まれている明日を探すこと」、「今、発生していることの未来への影響を見通す」ことです。
つまりドラッカーの有名なフレーズですが、「すでに起こった未来を探す」ことが大事なのです。




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ドラッカーの名言の「すでに起こった未来」とは?


「すでに起こった未来を探す」ということは、基本的・不可避的な変化でありながら、その影響がまだ表れていない事象を発見することです。
特に企業活動においては、本業の外部における変化に着目すべきと言っています。

すでに起こった未来とは何か?…
ドラッカーが具体例としてあげているもののひとつに出生率の変化があります。

それは20年後くらいに必ず労働人口の変化として現れます。
こうしたすでに起こっている未来を現在の中に探すことが、将来のビジネス機会を発見することにつながるのです。

現在の日本では出生率の低下が顕著ですが、それは将来的な労働人口の減少を意味すると同時に、女性や高齢者、あるいは外国人労働者の雇用機会の増加を呼ぶでしょうし、住宅事情の変化などにもつながってきます。
したがって、例えば人口減によって新築の住宅需要は減っても、逆に中古住宅市場が活発化する可能性も出てくるわけです。

さらに、企業には消費者の苦情やクレームがつきものですが、これも実はすでに起こった未来と言えます。
苦情は現在の商品への不満ですが、それを改善することによって将来に新たなマーケットを生む契機になるからです。

ところが、今、寄せられる苦情としてしか捉えず、対応に追われて、解決すればそれで一件落着としか考えない企業が多いようです。
これはとてももったいないことです。
現在、苦情は消費者の1%からしか寄せられていないかもしれませんが、往々にしてそれは先進的な消費者であり、同じような不満を持つ人が5%、10%、50%と増え、やがて多数の声になっていったりします。
つまり苦情は進化していくのです。

そこで、それを未来情報として活用することで、将来的に有力な市場の創造につなげていくことができるのです。
苦情には未来の市場動向がすでに潜在しているととらえるべきなのです。

そんな風に考えていくと、ドラッカーの「すでに起こった未来論」はとてもわかりやすく説得力のある話で、私たちのビジネス活動にとっても、また人生設計にとっても有効で普遍性のある考え方です。

では、その未来をどこに探せばいいのでしょうか?…
ドラッカーはその領域をいくつか挙げています。

先述しました人口構造の変化の他にも、知識の領域では現在の企業に直接関係のあるなしにかかわらず、基本的な知識の変化を探すこと…
他の国や他の産業分野、他の市場の状況を注視して、そこに自分達の国、産業、市場を変える要素がないかを考えてみること…
あるいは産業構造の変化、たとえば、いま素材産業に大きなイノベーションが起こっていれば、それは必ず製造業など他の産業の生産方法や工程、経費や価格、機会やリスクなどに影響を与えずにはおかない…

そんな風に視野や行動範囲を広く大きくとって、異分野の動きにも注意を払いながら、異質な情報や人間とできるだけ多く接触することが「すでに起こった未来」の発見のために必要な事柄なのですね。

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