鴻海がシャープ買収を延期した「偶発債務」って何?ビジネスマンなら知っておきたいこの言葉!

目次

台湾に本社をおく鴻海(ホンハイ)精密工業が、シャープ株式会社を買収…
エッジの効いたビジネスマンであれば、「今“偶発債務”でモメてるよね?」くらいは語れるようになりましょう!

という事で「鴻海のシャープ買収のこれまでの経緯」と、あまり聞き慣れない「偶発債務」に関して解説したいと思います。


なぜシャープ買収されるのか?


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さて、まずは「なんでシャープ買収されるのか?」という話ですが、その答えはとても簡単で「シャープが経営不振」だからです。

シャープの2015年の3月決算は2223億円の赤字で、主な原因は液晶事業が市場の減少と円安の影響を受けた事が原因となっています。
そもそもシャープの経営が傾き始めたのは、2009年のリーマン・ショック以降で、その後の2年間で1兆円に近い赤字を計上し、2012年と2013年の液晶事業だけも累計で9000億円という巨額の赤字を計上しているのです。

この事態に人員削減など悪戦苦闘していたシャープも、とうとう自力再建を断念…
一転して出資先探しに奮闘していたというワケです。

ところがそんな巨額の赤字を抱えた巨大企業に出資できるような組織や企業は少なく、最終的には官民ファンドの産業革新機構とEMS(電子機器受託製造サービス)最大手の鴻海(ホンハイ)精密工業が手を上げたのです。

そうしてシャープに多額のお金を貸している大口債権者のみずほ銀行と三菱東京UFJ銀行が、シャープ破綻を回避できる支援先として鴻海(ホンハイ)を推挙・選定した形になったのです。




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鴻海はなぜシャープ買収したいのか?


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巨額の赤字を抱えるシャープが出資先を探す理由は分かりました。
しかしここで、鴻海(ホンハイ)はなぜシャープを買収したいのか?という疑問が持ち上がります。

鴻海はシャープに6500億円程度を出資する予定であり、さらに銀行が保有しているシャープの優先株1000億円分の買い取りや、残り1000億円分は銀行が引き続き保有する事を認めています。
さらに契約が守られなかった場合の違約金として1000億円を支払うという提案まで行っているのです。

そこまでして、なぜ鴻海(ホンハイ)はシャープを手に入れたいのか?…

その理由は鴻海の郭台銘(テリー・ゴウ)会長が「今後は10兆台湾ドルの売上高を目指す」という大きな目標を掲げており、シャープ買収を大きな足掛かりにしたいという考えがあるためだと言われているのです。

鴻海の2015年12月期の連結売上高は4兆4830億台湾ドルで、日本円で約14兆8000億円にもなります。
10兆台湾ドルの売上高となると、日本円で30兆円を超える売上高をあげる企業になるワケです。

鴻海は現在、主力であるEMS事業以外にも、通信や自動車部品などに事業領域を拡大しており、今回のシャープ出資もその一環であると考えられるのです。
つまり30兆円の売上高を目指すためには、数千億円かけても先行投資は必要であると判断したのです。

また鴻海の郭台銘(テリー・ゴウ)会長が「シャープを解体するつもりはなく、今後100年存続させたい」と明言している事からも、シャープが鴻海の傘下に入るとは言え「シャープブランド」を活かす考えである事が分かります。
つまり、下請け組み立て会社であった鴻海が、シャープの工場や技術に加えて、家電メーカーの世界ブランド会社になれるというメリットもあるのです。




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偶発債務って何?


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さて、お待たせしました。
ここまでの経緯があって、初めて「偶発債務」が出て来るのです。
ここまで順調に進んでいた鴻海(ホンハイ)とシャープですが、ここへ来てシャープが出して来た総額約3500億円とされる「偶発債務」に関するリストを巡って、双方が協議を進めていると声明が出ているのです。
「偶発債務」とは、「今の段階では債務にはならないが、将来的に債務になるもの」で、例えば手形や債務保証、損害賠償責任などが挙げられます。
そのため鴻海は、この「偶発債務に関してしっかりと説明を受けていないよ」と、買収の交渉期限を2月29日から3月の上旬にまで延長する事が決まっているのです。

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