サービス・マーケティングにおける「7P」・「8P」とは?

Pの数が7つ、または8つあるという考え方は、7Pや8Pとして、主にサービス・マーケティングと呼ばれる分野で指摘されてきました。
この背景には、サービスという存在を、自動車やビールやパソコンといった物理的な形状を有する通常財とは、少し性格の異なった別の存在であると捉えた方がいいという認識があります。

例えば、自動車のような製品の場合、「カローラ」や「プリウス」には明確な形が存在しています。
これに対して、サービスの場合、ホテルでの接客や病院での治療行為が該当することになりますが、これらは形というものはあまりはっきりしていません。
いわゆる、有形財と無形財の違いがあるということになります。

あるいは、接客や治療行為は、生産者(医師はあまり生産者とは呼ばれませんが…)と消費者が直接接することで、初めて価値の実現が可能になります。
有形財の場合には、生産者と消費者は離れていても問題ありません。

ここには、サービスが同時性という性格を有していることが示されていますし、その場でしか成立しないサービスの価値は、すぐに消えてしまう消滅性という性格があるということにもなります。

製品とサービスが少し異なった性格を有していることは、こうした議論からも見えてくると思います。
もちろん、本当にこれらがどこまで異なったものであるといえるのか、その線引きは明確には難しいでしょう。

例えば、自動車を買ったその後でメンテナンスをするという場合には、修理というサービス的ともいえる価値の提供を私たちは受けることになります。
とはいえ、いずれにせよ、サービス的な側面の強い商材の場合には、従来的な4Pとは別に、いくつか考慮すべき新たなPが出てくると考えられることになります。

それらは、参加者(participants)、物的環境(Physical evidence)、プロセス(Process)です。
この他にも、生産性(Productivity)を追加する考え方があります。

これらの新しい要素は、いずれも、サービス財が無形であったり、すぐに消滅してしまったりする性格を有していることから必要とされるものです。
参加者とは、サービスの提供にあたって多くの人が直接的に介在するということを意味しています。

従業員はいうまでもなく、例えばレストランであれば、そこにいる他のお客といった人々も、ここには含まれることになります。
隣の席で学生たちが派手にコンパをしているとすれば、静かにワインをたしなむというわけにはいかないでしょう。

物的環境は、当のサービスを実現する数々の要素を意味し、ホテルの建物んやベッド、アメニティといったものが該当します。
最後にプロセスとは、サービスが提供される際の手順の流れを意味しています。

ホテルにせよ、レストランにせよ、サービスの提供には一定の時間が必要になります。
この時間の流れをうまく理解し、顧客のニーズに応えられるようにすることが求められるというわけです。

こうして4Pが必ずしもすべてではないということがわかりましたが、さらに、最近では4Pに代わって4Cを考えようという議論も存在しています。
これは、4Pという考え方が、どちらかというと企業側からの視点であったことを反省し、より顧客側の視点から、4Pを捉え直そうというものです。

製品とは、顧客の側から見れば何らかのソリューション(Customer solution)になっている…
価格は、顧客の側から見ればコスト(Cost)である…
販促もまた、顧客の側から見ればコミュニケーション(Communication)であり、流通は、利便性(Convenience)を意味しているというわけです。
より顧客の側からマーケティングの活動要素を捉え直すことで、確かに、よりうまく顧客の必要に応えられるようになるのかもしれません。

ちなみに今日では、サービス財の特性を一般の財(通常財)にも適用し、同じ論理で対象を捉えていこうとする研究が登場してきています。
全体的な傾向として財のサービス化が進んできているといえるでしょう。




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