製品にはいろいろな機能があり、その機能が顧客のニーズを満たすことになります。
焦点を絞ることは大事なことですが、どんなに焦点を絞ろうとも、製品にたくさんの機能があることには変わりありません。
顧客のニーズに対して、製品が提供する機能のことを「ベネフィット」と呼びます。
日本語でいえば便益です。
製品が提供するベネフィットは、したがって1つだけとは限りません。
むしろ、様々なベネフィットを提供していると考えることができます。
つまり、製品は、ベネフィットの束になっているのです。
極端な話をすれば、ノートパソコンは思考のツールとしてのベネフィットを提供していますが、同時に物理的に人を殴るために使うこともできます。
ベネフィットの束としての製品と、顧客のニーズがうまく合致したときに、価値のある製品だといわれることになります。
以上の言葉を使いながら、改めて、製品と顧客のニーズの関係を考えてみましょう。
Sponsored Links
まず、たくさんの顧客がいます。
彼らは、それぞれ少しずつ異なったニーズを持っていて、そのニーズを満たしたいと思っています。
これに対して、製品もたくさん存在しています。
これらの製品もまた、それぞれ少しずつ異なった機能を持っていて、それぞれベネフィットの束を形成しているわけです。
顧客がたくさんいて、ニーズを持っている…
製品がたくさんあって、ベネフィットの束を持っている…
ニーズとベネフィットの束がうまく一致すると、価値のある製品が生まれたということになります。
このように考えると、製品と顧客のニーズの関係は、3つの軸で捉えられることがみえてきます。
顧客(誰に)、ニーズ=ベネフィットの束(何を)、製品(どのように)の3軸です。
ニーズとベネフィットの束は別のものですが、しかし、一致しなくては価値のある製品が生まれないわけですから、重ね合わせて考えることができます。
例えば、ゼロックスが始めたコピー機ビジネスは、企業(誰に)を相手に、コピーサービス(何を)を、コピー機(どのように)を用いて提供しています。
あるいは「iPhone」などにしても、先進的なユーザーに、ソリューションを、タッチパネルや通信環境といった優れた技術によって提供しているということができます。
この3つの軸を用いれば、今提供している製品やサービスの今後の戦略を立てることもできます。
先のコピー機ビジネスであれば、「誰に」を変えることで、新しい顧客にアプローチすることができます。
あるいは「何を」を変えれば、同じ顧客に対しても新しい価値を提供できるようになるでしょう。
思い切って「どのように」の部分、製品を変えるという選択もあり得ます。
iPhoneにしても同じことです。
Sponsored Links
この軸の組み合わせは、デレク・F・エーベルという人が事業の定義を考える中で見つけたものです。
したがって、もともと別の製品を考えるための方法というだけではなく、もっと規模の大きな1つの事業を考える上で利用できます。
今の仕事について、誰に、何を、どうやって提供しているのかについて、考えてみてはいかがでしょうか。
いずれにせよ、ここで大事なのはニーズを満たすベネフィットの束の存在です。
マーケターとしては、製品がベネフィットの束である以上、それぞれのベネフィットに優先順位をつけておく必要があります。
「電話ができる」ことを最も重要なベネフィットであると考えるのならば、回線や音質をよくすることが製品として必要になるでしょう。
合わせて、周囲からの雑音をカットする技術が大事になるかもしれません。
これに対して、「かっこよく見られる」ことを最も重要なベネフィットだと考える場合、回線や音質よりも携帯電話そのもののデザインが
大事になるでしょう。
結果として、音質や雑音のカットは難しくなるかもしれません。
すべてのベネフィットを、1つの製品で提供する必要はありません。
改めてiPhoneで考えてみると、例えば本体とヘッドフォンを別売りにすることによって、音質と見た目のかっこよさ、あるいは便利さを両立することができるようになりそうです。
複数の顧客のニーズに効率的に応えることができるようにもなります。
ベネフィットの束をまとめて実現しようとする方法を「ハンドリング」といい、ばらばらに提供する方法を「アンバンドリング」といいます。
近年ネットの発展に伴い、アンバンドリングが容易になってきたともいわれています。
Sponsored Links
コメント
この記事へのトラックバックはありません。
この記事へのコメントはありません。