オンラインショップとリアル店舗はどちらが有望なのか?

オンラインショップとリアル店舗はどちらが有望なのでしょうか?…
ご存知のように、アマゾンや楽天といったオンラインショップがどんどんと大きくなっています。
一方で、既存の小売店舗は今ひとつ伸び悩んでいるようです。

百貨店は以前から低迷しているといわれてきましたが、コンビニエンスストアも成長が止まったといわれています。
時代はいよいよインターネットとなるのでしょうか。

もちろん、そんなことはないと思われる人も多いでしょう。
程度の差はあれ、ちょっとした買い物をするならばネットを使う必要もないですし、実物に触れられる現実の店舗が大事だという人もいるでしょう。

多分その通りだと思います。
以下では、こうした真感的な理解とは別に、もう少し理論的な側面からオンラインショップを含む商業者の存立根拠について考えてみたいと思います。

そもそもメーカーと顧客の間に立って製品を売買して利益を得る商業者(卸売業者や小売業者など)は必要なのだろうかという議論は昔から存在しています。
特に顕著だったのは、1960年代の問屋無用論や流通革命論です。

当時、ダイエーやイトーヨーカドーといったスーパーマーケットが勢いを増し始め、流通業界の再編成が急速に進んでいました。
その中にあって、中小の零細小売業者や卸売業者に対して、もはや必要がないという認識が広まったのでした。

考えてみれば商業者の存在は不可解なものです。
メーカーがモノを作り、顧客がモノを買う…
最も効率的に考えるとこれだけで十分にもかかわらず、現実にはメーカーと顧客の間には商業者が介在し、それも数多く介在して活動しています。

なぜ商業者が介在する必要があるのかについては、古くは社会学者のマーガレット・ホールによって、取引総数の節約という考え方が提示されています。
それは、なぜ商業者が存在するのかを説明する論理であるとともに、理想としては商業者がただ1人存在するとき、取引総数は最小化されて効率的になることを示したものでした。




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今、5社のそれぞれ異なった製品を生産しているメーカーと、この5社の製品をそれぞれ必要としている5人の顧客がいるとしましょう。
このとき、彼らがそれぞれに取引を行うとすれば、取引の回数は全体で5×5=25になります。

ここで1人の商業者がメーカーと顧客の間に入ることを考えます。
商業者は、メーカーから5つの製品を買い取り、5人の顧客にそれぞれ販売します。

すると、取引の回数は5+5=10となります。
全体で見た場合、取引の回数が大分少なくて済んだわけです。
これを、取引総数の節約と呼び、長らく商業者が世の中に存在する理由であると考えられてきました。

ですから、1960年代、流通革命論が登場した背景には、現実的に新しい小売業者が登場してきたこととは別に、理論的に取引総数最小化が進み始めたのだという認識があったわけです。

確かに、大規模な小売業者の登場によって、小規模な小売業者や卸売業者は減少する傾向にあります。
けれども、今も商業者の数は1ではありません。

インターネットが登場したとき、改めて取引総数の節約の実現が期待されました。
けれども、やはり今のところ、その数が1となる気配はありません。
取引総数の節約には、何かが欠けているのでしょう。

例えば、それは、空間的な制約でしょう。
どんなに東京に大きな店舗があったとしても、北海道から買いにくるのは容易ではありません。
あるいは、店舗側の技術的な制約もあるでしょう。
魚を売りながらパソコンを売るのは困難です。

インターネットの普及により、かつての流通革命のときと同じように、流通の仕組みは大きく変わるかもしれません。
しかし、それは一方が完全に淘汰され、取引総数の節約が無条件に進むということを意味するわけではありません。

それからもう1つ、取引総数の節約には重要な欠点があります。
それは、インターネットの登場によって、簡単に商売ができるようになった分、商業者の数は増えているかもしれないということです。

ネットオークションも盛んです。
厳密には、商業統計をはじめとしたデータを調べてみる必要がありますが、インターネットの普及は、取引総数最小化への道ではなく、むしろ逆に、取引総数を増大させ、新しい取引を作り出す流れだともいえそうです。

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