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日本人が世界有数の長生き国民だということが皆さんご存知のことでしょう。
特に女性は「平均寿命世界一」に何度もなっています。
2014年の日本の平均寿命は、男性が80.50歳、女性が86.83歳…
女性の方が6歳ほど長生きなのです。
また100歳以上の人も女性の方が多いのです。
2015年の報道によると、全国に約6万1500人いる100歳以上の高齢者のうち、87.3%は女性だそうです。
世界一長生きしたとされている人も女性だそうです。
フランス人のジャンヌ・カルマンさんは1997年に122歳5ヵ月余りで亡くなりました。
確実な証拠がある中では、史上唯一120歳を超えて生きた人といわれています。
男性で最も長生きした人は日本人の木村次郎右衛門(きむらじろうえもん)さんで、2013年に116歳2カ月弱で亡くなったそうです。
ジャンヌ・カルマンさんより6歳早く亡くなったということで、日本の男女の平均寿命の差と同じでもあります…
さて、それではどうして女性の方が長生きなのでしょうか?…
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女の方が男よりも長生きする理由➀「染色体」
一つには、出産直後に女性が亡くなることが大幅に減少したことが挙げられます。
昔は出産後に産褥熱(さんじょくねつ)などの感染症によって亡くなる人も多かったのですが、今ではずいぶん減ったからです。
また女性の方が長生きなのは、X染色体とY染色体の長さの違いではないかという説もあります。
ヒトの体はおよそ37兆個の細胞からできています。
各細胞にはそれぞれ核があり、その核にはすべて同じDNA(デオキシリボ核酸)が入っています。
さらに、そのDNAはそれぞれの核の中で23対(つい)、46本の染色体に納められているのです。
つまり染色体は2つで1セットなのです。
23対のうち、22番目までは常染色体(「通常の染色体」の意)で、最後の23番目は性染色体になります。
そして性染色体にはXとYの二種類があります。
例外はありますが、ヒトでは、XとYの性染色体を持つ個体が男性(オス)、XとXの性染色体を持つ個体が女性(メス)となります。
ヒトに限らず、哺乳類の性染色体の組み合わせは基本的には、XYはオス、XXはメスなのです。
サルもイヌもトラもウサギも、こうなっています。
こう説明すると性を決めているのは、XYとかXXとかの性染色体自体と思う人もいるかもしれませんが、実はそうではないのです。
性を決定しているのはY染色体の上に乗っているSRY(性決定遺伝子・睾丸決定遺伝子)という遺伝子なのです。
このSRYがあればオス(男性)、なければメス(女性)になるのです。
男性はXとYの二つの染色体をもっていますが、Y染色体は小さくて乗っている遺伝子も100個くらいしかありません。
SRY以外には、生存を左右する重要な遺伝子はないようです。
一方、X染色体は大きくて、非常に大事な染色体です。
乗っている遺伝子も1000個くらいあって重要なものも多いとされています。
単純にY染色体の10倍なのです。
男性の精子に入っている性染色体は XかY、女性の卵に入っているのはXだけ…
父親のY染色体をもらった卵はXYで男性になり、父親のX染色体をもらった卵はXXで女性になります。
男の子はX染色体を母親からしかもらえません…
となると、そのX染色体に異常な遺伝子があった場合、病気になる可能性が高くなるのです。
上述したように、重要な遺伝子を持っているのはX染色体で、Y染色体は性差を決めるSRY以外はさほど大した遺伝子を持っていません。
一方で、女の子は父親と母親の二人からX染色体を引き継いでいます…
ということは、どちらかのX染色体に異常があっても、もう一方の染色体の遺伝子が正常ならば正常な遺伝子が異常な遺伝子を抑え込むことができるのです。
多くの場合、正常な遺伝子が優性で異常な遺伝子は劣性なのです。
こうしたことから、男性より女性の方が遺伝的な病気に強く、それが女性の方が長生きする原因だとされているのです。
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女の方が男よりも長生きする理由➁「男性ホルモン」
女性の方が長生きする大きな理由はもう一つあります。
それは男性ホルモンの分泌量の差です。
SRYがあって、これが働くと、睾丸ができて、オスになります。
それで、睾丸ができると、男性ホルモンが分泌されるのです。
メスはSRYがないため、当然ながら睾丸から男性ホルモンが分泌されることはありません。
男性ホルモンが分泌されると、体が活性化されて元気になるのですが、エネルギーを作るためにミトコンドリアが働き、その副産物として活性酸素も分泌されてしまうのです。
活性酸素は体内に侵入した細菌などの異物を攻撃するなど、体にとって大切な役割を果たしています。
一方で活性酸素は、体内の重要な高分子を酸化させて、老化を促進させる少々やっかいな存在でもあるのです。
女性も男性ホルモンを睾丸以外から分泌していますが、その量はごくわずかです。
男性ホルモンというだけあって、男性の方がずっとたくさん分泌しているというわけなのです。
昔、中国に宦官(かんがん)と呼ばれる人たちがいました。
去勢された男性の役人で、皇帝や後宮に仕え政権を左右することも多かったといいます。
当時の去勢手術はリスクも多く三割は死亡したと言われますが、そこを乗り越えれば、一般の男性よりも長生きする人が多かったようなのです。
睾丸を取ってしまうため、男性ホルモンがほとんど出なくなって、女性化するのです。
それで長生きしたのではないかと思われます。
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