2014年7月、アップルの製品に関する衝撃的なニュースが飛び込んできました。
セキュリティ専門家で科学捜査官やハッカーの肩書きも持つジョナサン・ジジアルスキー氏が、iPhoneやiPadに搭載されているOS、「iOS」にバックドアが存在していることを明らかにしたのです。
バックドアとは、元々は英語で「裏口」を意味する言葉ですが、コンピュータセキュリティの世界では、本来IDやパスワードなしでは内部に
侵入できないコンピュータに対し、ユーザーに知られることなく侵入できる入り口のことを指します。
つまり、ジジアルスキー氏は、アップルはiPhoneやiPadの全ての端末の内部情報を、そのユーザーに知られることなく監視できる仕組みを作り、そのことをユーザーに対して隠してきていると指摘したのです。
それに加え、このバックドアはNSA(アメリカ国家安全保障局)などの政府機関がエンドユーザーの端末を監視できるようにするためにアップルが意図的に用意した可能性を示唆…
この件に関してアップルは情報開示と事情説明をするべきであると主張しました。
このニュースは大手メディアによって報じられ、iPhoneやiPadのユーザーは本当に司法当局に監視されているのか?…
とたちまち大騒ぎとなったのです。
ジジアルスキー氏の指摘を受けて、アップルはすぐに応戦を開始しました。
まず、アップルは、ジジアルスキー氏が指摘した「機能」の存在は認めつつも、それはあくまでもiosのデバイス診断のために用いられる機能であり、アップルのエンジニアなどが問題解決のために利用するものに過ぎないと主張したのです。
その上、この機能はデバイス側の同意がなければ、仮に診断のためであっても利用することができない仕組みになっていると訴えました。
また、アップルは、ジジアルスキー氏が憶測しているようなNSAをはじめとするいかなる政府機関とも共同でバックドアを作ることはしていないと断言したのです。
アップルの説明によれば、このバックドアはコンピュータに直接USB接続をしてユーザーがダイアログに同意した場合など、ごく限られたケースでしか利用できないと説明し、その安全性を強調、事態はひとまず収束を見ました。
しかし、この説明を受けたジジアルスキー氏は、このバックドアは実際にはデバイス診断に必要最低限な情報だけでなく、ほとんど全てのユーザーデータの転送ができてしまうことが問題なのだと指摘しています。
アップルは本当にバックドアを用意していたのか、それとも単なる脆弱性だったのか…
真相はわかりませんが、個人情報がきわめて大きな経済価値を有するようになったことで、犯罪組織だけでなく企業に対しても私たち一人一人が警戒の目を光らせなければならない時代がやってきてしまったことは間違いないのでしょう。
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