最寄り駅まで徒歩5分、会社まで電車で30分…
生活環境も良く、これで家賃7万円なら好条件と6年前に入居した分譲賃貸マンションにあなたは住んでいました。
ところが、部屋のオーナーが不動産屋を介して3回目も更新時以降、家賃を8万円に値上げしたいと言ってきたのです…
理由は経済的な事情としか聞かされていないのですが、昨今は空き屋率も上昇しており、とても納得できません。
自分としてはこのまま同じ部屋に居続けたい…
果たして、値上げに応じる必要があるのでしょうか?
また、要求を飲まなければ部屋を出ていかなければならないのでしょうか?
借地借家法によれば、「租税負担の増減や経済事情の変動、近隣の家賃と比べて不相当な場合に賃料の増額や減額の請求ができる」とされています。
つまり、しかるべき事情があれば、大家には値上げ、借り主には値下げを要求する権利があるのです。
ただ、大家が「賃料を増額する」と連絡してきたからと言って、一方的に変えられるものではありません…
まずは当事者間での協議です。
この場合、借り主は不動産屋の担当者と話し合うことになります。
ここで、大家なりオーナーが借り主の言い分を飲んでくれれば良いのですが、どうしても相手側が折れず、こちらも値上げに応じる気が無い場合は、調停や裁判で争わなければなりません。
結論が出るまで、借り主には「相当と認める額」の金額、現実的には従来どおりの家賃を支払えば、住み続ける権利が与えられています(借地借家法32条2項)。
しかし、もし大家が家賃が受け取らなければどうするのでしょうか?…
分譲賃貸の場合、家賃は通常、口座からの引き落としが一般的ですが、振込先は不動産や管理会社です。
部屋のオーナーが受け取りを拒否すれば支払ったことにならず、最悪、家賃の不払いによる契約解除という事態にも発展しかねません…
この場合は「弁済供託」という制度を利用すべきなのです。
これは本来支払うべき家賃を国に預ける方法で、具体的には法務局に家賃を委託することになります。
もっとも、ここまでこじれたら裁判は必至…
ちなみに、敗訴すれば、賃料増額の請求を受けたときまで、さかのぼって不足分の家賃(前記のケースでは1万円)と1割の利子を支払わなければなりません。
今の家賃が妥当か否か?…
法廷で争う前によく見極めておく必要があるでしょう。
Sponsored Links
コメント
この記事へのトラックバックはありません。
この記事へのコメントはありません。