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経験則 (けいけんそく)という言葉をご存知でしょうか。
経験則とは、実際に経験された事柄より見い出される法則のことです。
簡単に言えば、確固たる実験結果が出ているというものではなく、長年の経験から導き出された法則のことなのです。
有名なところで言えば、「ハインリッヒの法則」や「パレートの法則」、グロッシュの法則やビル・ジョイの法則などがあります。
そこで今回は中でも経験則に基づく「親指の法則」と「72の法則」について、ご紹介したいと思います。
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経験則に基づく「親指の法則」
経験則を取り上げる上で、どうしても知ってほしい言葉があります。
それは「親指の法則(ルール・オブ・サム:Rule of Thumb)」という英語の慣用句です。
これは正確な理論やデータからではなく、経験によって物事のおおよそを判断する際によく用いられている法則です。
たとえば、2011年6月、原油相場の高騰を抑制するため、IEA(国際エネルギー機関)が加盟各国の戦略石油備蓄6000万バレルを放出すると突然発表し、その影響で原油相場は1割近くも急落しました。
ある専門家は、これがアメリカのガソリン小売価格にどう反映するかについて聞かれた際、「親指の法則」と断わり、1バレル(42ガロン)当たり1ドル下落すれば、市場でのガソリン価格は1ガロン(約3.8リットル)当たり2セント下がるだろうと説明しました。
厳密に計算すれば、多少の違いはあるかもしれませんが、一般の人々にわかりやすいように、過去の経験からこの法則を用いたということなのです。
事実、その後、原油価格は1バレル10ドルも下落し、それに伴ってガソリン小売価格は1ガロン20セントも下がりました。
「親指の法則」の語源には、様々な説がありますが、そのうち最も有力なのは、イギリスの木工職が手の親指を使って、ものを測ったことに由来するといわれています。
というのは、彼らが親指の爪の付け根の幅の平均値を、1インチ(2.54センチ)として、ものを測る時の尺度として使っていたからなのです。
他の有力な説は、農業に由来するもので、種を適切に撒いたり、植え替えする際に、深さを一定にするために、親指を土に差し込んで、その深さを測ったからだとされています。
このように、おおよその長さや深さを測る基準として、親指は昔から用いられていたのです。
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経験則に基づく「72の法則」
この経験則の好例としてよく引用されるのは「72の法則」です。
これは資産を複利運用する上で、固定金利の場合、元金が2倍になるには何年かかるかを計算する時の、便法として利用されているです。
すなわち、元本が2倍になる年数=72÷金利(%)と、72を固定金利で割りさえすれば、元金が倍になるまでのおおよその年数が試算でき
るのです。
たとえば、金利が年5%であれば、14.4年(正確な複利計算では14.21年)かかり、年3%なら24年(正確な複利計算では23.45年)、年2%なら36年かかる計算になります。
いずれもほぼ実数に近いく、72は経験に基づいた不思議な数字なのです。
残念ながら、日本の現行のような超低金利、たとえば定期預金の金利が年0.5%の場合だと、元金が倍になるには、気が遠くなりそうですが、計算してみると144年もかかるのです。
なおこの数式は、遠く15世紀のイタリアの数学者で「会計の父」と呼ばれた修道士ルカ・パチョーリが、数学書「スムマ・デ・アリトメティカ」ではじめて唱えたとされています。
その後、他の数字、たとえば69や70の方が、金利によってはより正確だとの異説も出ています。
しかし、経験則には「例外のない法則はない」といわれるように、妥当性に欠けるような例外や制限が多くあります。
だからこそ、それがさらなるバリエーションや法則を派生させ、本来の法則をより意味深いものにしているのです。
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