目次
企業などが商品やサービスが大量かつ効率的に売れるように、市場調査・製造・輸送・保管・販売・宣伝などの全過程にわたって行う企業活動の総称を「マーケティング(marketing)」といいます。
簡単に言えば、顧客のニーズを解き明かして、顧客価値を生み出すための経営哲学、戦略、仕組み、プロセスのことです。
今回はそんなマーケティングの中でも「実務」に関して…
デキるビジネスマンなら知っておきたい「マーケティング実務」と題して、ご紹介したいと思います。
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マーケティング実務の範囲
マーケティングの仕事は多岐にわたります。
機能別に分ければ、製品開発、プロモーション、チャネルということになりますが、製品やプランドごとにマーケティング全体の仕事に責任を追う役割をプロダクト・マネジャー(あるいはブランド・マネジャー)といいます。
このプロダクト・マネジャーが担当する仕事をプロダクト・マネジメントといいます。
プロダクト・マネジャーの仕事は担当製品の企画開発から生産、マーケティング、アフターサービスのすべてに及びます。
それをリストにすると次のようになります。
◇消費財、ビジネス財共通の実務
・全社的なマーケティング戦略の理解と提案、勧告
・製品毎のマーケティング計画の立案と推進
・予算、予測あるいはそのための準備や要請
・製品に関連する各部門機能の調整
・第一線セールス部隊に対する助言と援助
・市場調査や製品改良、打ち切りなどの勧告
◇消費財分野のみの実務
・広告のテーマとキャンペーンの企画と実施
・特売などキャンペーンの企画と実施
・パッケージデザインの変更の推進または承認
・在庫の管理、勧告
・第一線セールス部隊に対する技術的協力、援助
・競争入札の場合における費用見積と価格決定の吟味
・売上高増大のためのセールス戦力そのものの個人的援助
・取引先との情報交換、関係管理
◇隠された重要な業務
・アイデアの創出、または誘導
・資本支出に関する起案作成
・費用の統制
・セールスマンの選抜と教育訓練の援助協力
・担当製品に関連する各種法令や規制のチェック
マーケティング計画
次にプロダクト・マネジャーには3つの役割があります。
それはプランナー、コーディネーター、マネジャーです。
この中で特にプランナーとしての仕事は、マーケティング計画書の作成です。
この計画書を読めば、マーケティングのプランニング全体がどういうものであるのかがわかるようにしなければなりません。
プロダクト・マネジャーは製品の責任者ですから、マーケティング計画とはすなわちプロダクト・プランニングなのです。
プロダクト・プランは、その製品系列の歴史的背景を記述した文章になります。
それは市場を描写し、その企業の過去および現在のシェアを示し、競争上の諸活動を評価し、収益性の分析を行ったものです。
マーケティング計画の内容は次の通りです。
背景
その市場がどのように変化してきたのか、主にどのような要因に着目する必要があるのか。
今回のマーケティング計画を必要とする背景を説明します。
主な内容は次の通りです。
・市場環境の主な要因はどのように変化しているか
・どのような問題があるか、どのような機会があるか
・長期戦略をどのように考えてきたか
・どのようなプロモーション方法をとってきたか、その効果はどうか
・目標粗利益はどの程度のものか
事業分析
次にその製品および事業がどのような成果、業績を上げてきたのか、最近の傾向はどうなっているのか、従来行ってきたマーケティングはど
のようなものなのか、を明らかにします。
・売上高および粗利益の傾向はどうか
・市場の潜在力をどう見るか
・製品の業績はどのような傾向を示しているか
・どのような販売努力をしてきたか
・消費慣習はどのようなものか、その変化傾向はどうか
・どのようなプロモーションを行ってきたか
マーケティング戦略
製品、市場、プロモーションなどの全体を統合するマーケティング戦略はどのようなものかを明らかにします。
・競争優位性を継続あるいは転換するのか
・マーケティング努力をどこに焦点化するのか
・マーケティングの生産性や効率の目標はどの程度か
計画
いよいよ具体的な計画内容です。
マーケティングの目的、目標、方法、内容のすべてを具体的に詳述します。
・売上高と粗利益の目標はいくらか
・どのような表現の広告宣伝をどのようなメディアで行うか
・どのような内容の販売促進をどのような地域や施設で行うか
・新製品コンセプトと、それを導き出した市場調査結果や経緯はどういうものか
・直接間接に担当するセールスマンの人員はどのくらいか
・臨時に追加されるコストとしてどのようなものが想定されるか
・その他(品質のグレードアップなど重要な提案)
計画は生産施設、在庫水準、製品配送上の問題点を明らかにすることからはじまります。
そして流通(物流含む)政策、原価、その他について検討していきます。
計画はつくれば良いのではなく、監査しなければなりません。
プランナーとしてのプロダクト・マネジャーのもうひとつの仕事がオーディットあるいはアセスメント(監査)なのです。
ここで言う監査とは、製品系列における個々の貢献度合を綿密に吟味することを意味しています。
これは利益、間接費の配賦、販売量、将来の成長、資本利益率などにも及びます。
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責任
プロダクト・マネジャーのコーディネータとして、あるいはマネジャーとしての責任は次のようなものです。
日常的な責任
◇製品ファクトブックを管理する。(製品計画はトップ・マネジメントに承認されると、製品の製造やマーケティングについてのすべての
ことがらの業務手引書となります。これがファクトブックです。)
◇営業担当者や販売業者を動機づける。
◇競合についての情報やトレンド、機会、顧客の期待などのマーケティングに関する情報を集める。
◇営業部門や製造部門、研究開発部門などの橋渡し役をする。
◇予算を管理し、販売目標を達成する。
短期的な責任
◇年度のマーケティング計画や予測作成に携わる。
◇プロモーション計画を実行するために、広告部門や広告代理業と共に作業する。
◇トレードショーやコンベンションの調整を行う。
◇規制や法律の変更などに留意し、徹底させる。
◇新製品開発チームに参加する。
◇競合の動向を予測し、対策を行う。
◇価値を高めるために、製品を改良し、費用を下げる。
◇ライン拡張をすすめる。
◇製品撤退のための意思決定に加わる。
長期的な責任
◇製品の長期的な競争戦略を策定する。
◇新製品の機会を把握する。
◇製品の変更や強化、導入を推薦する。
マーケティングの仕事をわかりやすく理解するためにプロダクト・マネジャーを参考にしましたが、現実にはすべての業界や企業にプロダク
ト・マネジャー制が導入されているわけではありません。
マーケティングの展開のためには、プロダクト・マネジャー制や事業部制組織によるマーケティング機能の統合が効果的だということは明らかなのですが、現実には機能別組織も多く見られます。
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