仕事をする上で、ビジョンと目標が明確だと、集中力が高まるというメリットもあります。
集中力は人間の最もすぐれた能力の一つ…
成果を上げる上でも必要不可欠な要素であるともいえます。
なぜなら忍耐力、行動力…
どれも必要な能力ですが、これらは集中力さえあれば、あとは自然に身についてくるものでもあるからです。
そこで今回はドラッカー流…
仕事の効率と集中力に関してご紹介したいと思います。
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仕事の効率は集中力が高めてくれる
ひとつのことを集中して行うことは、いくつかのことを同時に進めるよりも効率がよく、理解度も深まるはずです。
また、ひとつのテーマにじっくり取り組むことで、他の分野に応用できる能力が身についていくこともめずらしくありません。
ドラッカーも、この一時にひとつのテーマを集中的に勉強して、習得したら次のテーマに移るというやり方を推奨しています。
驚くべきことに、彼は新聞記者時代から60年以上もこの学習方法を続けていました。
つまり、ひとつのテーマに集中して取り組み、それを習得したら次のテーマに移る…
それを繰り返すことによって、継続学習の姿勢を日常生活の中に組み込んでいくようにしたのです。
ドラッカー流学習法を図解したのが下記の図です。
ポイントはテーマを絞るという点にあります。
単純な例ですが、習得するのに1年かかるテーマが6つあった場合、6つを同時進行で学習するやり方は効率的に見えて、結局どれも中途半端に終わるリスクが大きいものです。
それよりは6年計画で1年にひとつのテーマを順に習得していくほうが効率もよく、深く理解できるのです。
同じことは趣味を身につけるときにも言えます。
「今年は陶芸に集中しよう」、「この1年はテニスのスキルアップに絞ろう」と、テーマを絞って取り組むことが上達への近道なのです。
テーマを絞り込んで集中的に取り組めば、陶芸もテニスも10年後にはセミプロ級の腕前になっているかもしれません。
本来、学習の到達度は…
➀理解できる
➁企画できる
➂伝達できる
の3段階に分けることができます。
➀は知っている程度に知識レベルがとどまっている状態…
➁は知識を自分なりに咀嚼(そしゃく)して他の分野に応用できるような状態です。
そして➂は他人に伝えたり、教えられる段階のことです。
複数のテーマを同時並行すると、それぞれの学習度がどうしても浅くなり、本当は理解できたくらいのレベルにすぎないのに、「これに関しては、もうマスターできた」と早合点しがちです。
それぞれの習得度を伝達できる水準まで深めるためにも、テーマの「選択と集中」が必要なのです。
集中力とは「能力の凝集」のことで、錐を使う状態に似ています。
厚い雑誌に穴を開けるにはナイフやはさみは役に立ちません。
つまり集中力とは、錐(きり)のように力を一点に集めて、自分の持てる能力以上の知恵やエネルギーを生み出す力のことを言います。
ただし、ドラッカー流の集中学習法を実践する場合、2つの留意点があります。
〇テーマの優先順位を間違えてはいけない
〇テーマに必要以上にこだわりすぎない
後者は度が過ぎると、逆にそれ以外のテーマがおろそかになってしまう恐れが生じます。
俗な言い方をすれば、いわゆる「専門バカ」になってしまいかねません。
方法論や体系が固定してしまうと、他のアプローチや手法を知る手がかりを見失ってしまうことにもなり、時間をムダに使うリスクも生じます。
その点では、「8割程度の理解が得られたと判断できたら次のテーマに移る」…
といった方法をとるほうが、幅広い知識と教養を身につけるのには役立つはずです。
たとえば、➂の伝達レベルの能力までは持つ必要がないのなら、➁の企画レベルまで理解できた時点で次に進むほうが効率はいいのです。
要するに知識を縦に掘り下げるべきときと、横に広げるべきときをよく見極めて、両者をうまく使い分けることが肝心だとドラッカーは言っているのですね。
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