ドラッカーの「顧客創造」とはどのような意味を持つのか?

目次

経営学、社会学の権威ドラッカー(ピーター・ファーディナンド・ドラッカー)は「顧客創造」について検討していました。
ドラッカーは「顧客創造」が企業の目的であるともいっています。

ここではドラッカーの「顧客創造」とはどのような意味を持つのか?…
この点に関してお話したいと思います。




Sponsored Links


ドラッカーの「顧客創造」とはどのような意味を持つのか?


現在はモノ余りの時代です。
供給過剰の時代に企業がモノを売るためには、消費者はいったい何を求めているのか、真摯に消費者の声に耳を傾けなくてはなりません。
ここから、顧客満足度ということがいわれるようになりました。

ドラッカーは企業と顧客の関係を、企業の目的は、顧客を創造するという点である…
それができなければ企業の存在意義はなく、「企業とは何か」を決めるのも顧客にほかならないとしています。

今や常識となった顧客至上主義の視点を、かなり早い段階で主張していたのです。
顧客創造には、マーケティングとイノベーションが必要です。
顧客が何を買いたがっているか、何を求めているかを精査して、それに合わせてよりすぐれた商品やサービスを提供していかなければなりません。

ドラッカーは、「これをつくった」、「こういうものを売りたい」という供給側の論理ではなく、あくまでお客が何をほしがっているかという需要側(市場)の論理を基準にマーケティングを行い、イノベーションを模索しなければならないと言っています。
今となっては正論すぎるほど正論の論説と言えるでしょう。

顧客創造のための2つの必要条件であるマーケティングとイノベーションを、研究開発(Research&Development)という企業活動の視点からとらえてみると、顧客のニーズを調査、理解して市場を発見するのが「リサーチ活動」、新商品や新技術の開発によってイノベーションをもたらし、新しい顧客を生み出すのが「ディベロップメント活動」ということになります。

この場合、マーケティング(リサーチ活動)がカバーするのは、「顕在ニーズ」のさらなる増強や拡大であり、イノベーション(ディベロップメント活動)は、それまでになかった新市場を創り出す、「潜在ニーズ」の発掘に役立ちます。

きれいに二分されるわけではありませんが、マーケティングが「顕在顧客=既成市場の活性化」を担当し、イノベーションが「潜在顧客=新規市場の開拓」に寄与します。
この両輪によって満足を創造していくのが企業の役割であり、目的なのです。




Sponsored Links


どんな事業目標を立てたらいいか?


ドラッカーは、「事業とは何?」を定義するのは顧客であり、事業の定義を組織全体に浸透させることがトップマネジメントの第一の責任であると述べています。
事業は組織の内部から定義づけるのではなく、組織の外部、すなわち顧客や市場の期待や欲求、行動から逆算して決定すべきであるというのです。

事業の目的や定義が決定されたら、次に事業の目標を具体化しなくてはなりません。
目標は戦略であり、行動指針とも動機づけともなるため、事業に関わるすべての領域において、それぞれの目標を定める必要があるとドラッカーは強調しています。

➀マーケティングの目標・・・集中すべき市場領域と地位目標
➁イノベーションの目標・・・製品、市場、プロセスのイノベーション
➂経営資源の目標・・・人的資源、物的資源、資本に関する目標
➃生産性の目標・・・経営資源について、生産性の目標
➄社会的責任の目標・・・環境問題など企業の社会的責任に関する目標
➅利益の目標-先の5つの目標を達成するために必要な利益目標

最後の「利益」に関するドラッカーの意見は卓見です。
彼は、利益とは企業の目標達成と事業存続のための必要コストであると言っています。

つまり、利益とは単に過去の事業活動からもたらされた儲けではなく、明日のコストとリスクをまかなう先行的な投資費用でなくてはならないというのです。
たとえば、企画から生産、物流、販売まですべてを自社でコントロールすることで、生産と消費の現場を最接近させたビジネスモデルを構築し、低価格で高品質の製品を売るという目標を掲げたユニクロ(株式会社ユニクロ)は、このドラッカーの6つの事業目標をクリアしようとしているように見えます。

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

PR

PR

ページ上部へ戻る