ゴールドラット博士のTOCが提唱する5つのステップとは?

TOC(制約条件の理論)とは、「工場の生産性はボトルネック(=制約条件)工程の能力以上には向上しない」という原理のもと、ボトルネック工程に注目することで仕掛品や在庫を劇的に減らし、最大の利益を上げるという理論です。
TOCは物理学者、エリヤフ・ゴールドラット博士が1980年代に開発しました。

実際に多くの工場が実践し、その実績からジャスト・イン・タイム方式やTQMを超える生産方式だと話題になったのです。
日本では、2001年に博士の著書「ザ・ゴール」が翻訳出版され、ベストセラーとなり、今ではTOCのコンサルティングを手掛ける会社もあるほどです。

大手のメーカーには、購買、製造、物流、販売という一連のバリューチェーン(業務プロセス)があります。
TOC理論では、この一連のプロセスの中で、もっとも供給量の低い部分のプロセスに全体の供給量が制約されてしまうとしています。

たとえば、生産能力が1日10万個、販売能力は1日12万個であったとしても、輸送能力が一日5万個であれば、全体の供給能力は一日5万個になってしまう…
このときの輸送能力をボトルネックといいます。

製造ラインのこの工程の機械がいつも作業が遅れるとか、物流がいつも交通事情から運搬が遅れる…
などといったケースがこれにあたります。

このような改善すべきボトルネックを発見することが、TOCのポイントなのです。
改善すべき点を見つけることは従来の改善活動と同じですが、TOCの改善はボトルネックだけを対象とするところが特徴となっているのです。
ボトルネックの工程を改善すれば、効率的に調達、製造から販売までの企業活動がもっとも最適化されるからなのです。

個々の改善をいろいろ行っても、全体としてはボトルネックとなっている工程に引きずられ、利益の向上がはかれないとするところが画期的な理論でした。
具体的には、下記のような5つのステップがあります。




Sponsored Links

1:制約条件を特定する
潜在能力ではなく、実際の生産能力で把握する

2:制約条件を徹底的に活用する
制約条件となっている部分の能力を最大限に発揮させるようにする

3:制約条件以外を制約条件に従属させる
制約条件以外の部分の能力をフルに発揮させると、かえって経営資源の無駄遣いになりかねないので、制約条件の部分に合わせるようにする

4:制約条件の能力を向上させる
設備増強や人員増などの投資を行う

5:惰性に注意しながら新たな制約条件を特定する
新たに制約条件となっている部分を見つけ、1から4のステップを繰り返す

また、TOCのもう一つの核はコストの管理法です。
従来のコスト管理法は、商品の販売価格から設備や人件費などの経費を差し引いて原価とします。
したがって、いかに原価を下げても、売れずに在庫が増えれば収益はマイナスになってしまいます。

しかし、TOC理論では実際の売上高からコストを引いて利益を計算するもの…
こうすることで、会社全体の利益を最大化するには、何を生産すべきか、何を生産しないかが明確になるのです。
もっとも在庫を少なくし、効果的に生産することができるわけですね。

ゴールドラット博士の提唱するこの利益計算の考え方は、従来からの原価計算の考え方とは異なりますが、キャッシュフローの最大化を達成するための管理会計として用いられるようになり、「スループット会計」と呼ばれています。




Sponsored Links

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

PR

PR

ページ上部へ戻る