「マーケティング・ミックス」とはどのような意味を持つのか?

顧客のニーズがわかり、セグメントやポジションがはっきりとしてきたのならば、いよいよ実際の開発や販売体制を整えていくことになります。
その具体的な指針の集合を、「マーケティング・ミックス」と呼びます。

マーケティング・ミックスでは、マーケティングに必要となる要素をうまく組み合わせる…
すなわちミックスしていくことが焦点になります。

マーケティングに必要になる要素は、大きく4つあります。
「製品(Product)」、「価格(Price)」、「流通(Place)」、「販売促進(Promotion)」です。
いずれも「P」から始まる単語で統一されていますので、頭文字をとって4P、4Psと呼ぶこともあります。

4Pや4Psは, マーケティングでは最もよく知られた用語の1つです。
とはいえ、どうしてこの4つなのでしょうか?…

理由を考えてみると、なかなか合理的な説明を考えることはできないかもしれません。
この4つは、過去の経験から生み出されてきた経験則の側面を強く持っています。

そうした過去の中では、例えば4Pは5Pだった時代もあり、そのころの5つ目の営業(Personal Sales)でした。
今では、販売促進の中に含まれています。

マーケティング・ミックスを考える上で重要なことは、おそらく、要素の数がいくつあるのかということではありません。
そうではなく、重要なことは、これらの要素を目的に対して一貫性を持って組み合わせるということです。

4Pに一貫性を与えるのは、顧客のニーズに応えるという目的です。
今では当たり前かもしれませんが、顧客のニーズは、かつては4Pの目的というよりは、4Pに影響を与える外部要因の1つ程度に考えられていたこともあります。




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顧客のニーズに応えるという目的の下で4Pに一貫性を与えるという場合には、古典的には大きく2つのパターンがあります。
販売促進を中心に考えますが、「プッシュ戦略」と「プル戦略」と呼ばれる組み合わせ方です。

プッシュ戦略は、顧客にとってあまりなじみがなかったり、強い興味を引くわけではない製品を店頭で購買してもらうために利用される組み合わせです。
店頭という流通の現場で販促してもらう必要があるため、彼らに高いマージン(支援金)を支給するという4Pの組み合わせが考えられます。

一方で、プル戦略の場合には、逆に顧客がよく知った製品や興味のある製品を販売するために、テレビCMなどのマス広告を用いて顧客に直接働きかけ、彼らが自発的に店頭でその製品を購入してくれるように4Pを組み合わせることになります。

実際には、プッシュとプルといっても、組み合わされることが通常です。
その理由は、環境の変化はもちろんのことながら、マーケティング活動自体によって、その製品が顧客にとってなじみがあるかどうかや、興味があるかどうかが変わっていくという動的な側面があるからです。

とすれば、プッシュ戦略を通じて顧客の興味を強めつつ、彼らに対して、さらにプル戦略を実施するということは、当たり前の選択でもあります。

ただ、それはとにかくたくさんやればいいということではないことはいうまでもありません。
それではあまりに非効率でしょう。

さて、マーケティング・ミックスを考える上で、一貫性とは別にもう1つ重要な点があります。
それは、マーケティング・ミックスのPの数がいくつあろうとも、その中には「製品」が含まれているということです。

これは「だから製品が大事だ」ということを意味しているのではありません。
そうではなく、製品という存在もまた、他の価格や流通や販売促進や、あるいはもっと他の要素と、同じ程度の価値を有しているのだということを意味しています。

この主張には、違和感を持つ人も多いはずです。販売すべき製品がなければ、そもそもどうしようもないのではないか。
だから、まずは製品を第一に考えて,その上で他の要素を考えていくことになるのではないかというわけです。

確かに、製品がなければ、販売をすることはできないでしょう。
けれども、それとまったく同じように、価格がなければ、やはり販売することはできません。

流通が存在しなければ、販売することはできません。
販促を通じて顧客が必要と感じなければ、やはり販売されることはないでしょう。

ようするに、製品がなければ販売ができないという意味において、他の要素についても、1つでも欠ければ、やはり販売することはできないのです。
マーケティング・ミックスという考え方は、製品重視の視点を相対化しながら、顧客のニーズに応えるとはどういうことなのかをうまく説明する考え方だといえるでしょう。




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