メディアで伝えるメッセージの内容にはどんな意味があるのか?

メディアとして何を選択し、どう組み合わせるのか?…
このことを考えることは、クロスメディアの重要なテーマです。

しかし、同時に忘れてはならないことは、そのメディアにどういうメッセージを乗せるのか?…
ということです。

広告活動は、メディアとメッセージの選択から考えることができます。
メディアは、メッセージを伝えるための器です。

いかにたくさんのメディアを用意しようとも、中身となるメッセージが優れていなければ、広告活動は効果を上げることができません。
メッセージを考える上で参考になるのは、「コカ・コーラ」の事例です。

コカ・コーラといえば、誰もが知る炭酸飲料です。
コカ・コーラのための広告活動は、当然コカ・コーラについて語ることを目的としています。

しかし、ここで大事なことは、コカ・コーラについて何を語るのかということです。
その選択肢は、ほとんど無限に存在しています。

1886年に販売が始まったコカ・コーラは、当初は「おいしく、さわやか」というメッセージがスローガンとして採用されていました。
これは、コカ・コーラという炭酸飲料にとって、最もストレートな表現だったということになるでしょう。
その後、コカ・コーラは、販売範囲を広げるに伴い、そのメッセージを徐々に変えていきます。

例えば、20世紀に入るころには、コカ・コーラは「試合の合間にコカ・コーラを飲むといつも生き返る」というスローガンを採用することになりました

最初のメッセージと次のメッセージは、同じくコカ・コーラのすばらしさを伝えようとするメッセージではありますが、その力点が異なっています。
最初のメッセージが極めてストレートなものであるとすれば、次のメッセージは、ただコカ・コーラがおいしいというのみならず、どういう状況で飲まれるべき製品であるのかというシチュエーションを提示しています。

1963年には、「コークを飲むともつといい」というスローガンが採用されます。
ここで注目すべきは、「もっと」という比較の言葉です。
何に対してもっとなのでしょうか。

はっきりと明示されてはいませんが、当時、「ペプシコーラ」との競争が激化していたとしたらどうでしょうか。
「もっと」は、競合よりももっとおいしい、というメッセージだったとということになります。

極めつきの興味深いスローガンは、1984年の「Coke is it」や2003年の「No Reason Coca-Cola」です。
もはやこれらのメッセージは、特定の状況を主張していません。
端的に、何の修飾も何の理由もいらない、コカ・コーラがあるということ、それだけで十分ではないかというわけです。

長年繰り返し様々なメッセージを提供してきたからこそできる、究枢的なメッセージだといえます。
もし、このメッセージを顧客が受け取ってくれるとすれば、コカ・コーラはどんな競合にも負けないでしょう。
コカ・コーラが選択されることについては、何の理由もない、議論の余地のない必然だということになるからです。




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メッセージには様々な形があることがわかります。
今必要とされているメッセージは何かを考えることは、製品開発のアイデアを考えるのと同様、とてもクリエイティブな仕事です。

こうして練り上げられたメッセージは、特定のメディアを通じて顧客へと伝達されることになります。
この時、メッセージとメディアの組み合わせという課題が発生します。

実は、メディア自体、独自のメッセージを発信しているのです。
この点に注意しないと、メッセージとメディアの組み合わせはうまくいきません。

このことは、恋愛の際の告白を考えてみるとわかりやすいかもしれません。
相手に好きだという気持ちを伝える際には、気の利いたメッセージを考えなくてはなりません。

しかし、そのメッセージを具体的にどうやって伝えるのかということも、同時に考える必要があります。
同じ「好きです」というメッセージを、直接会って口頭で伝えるのか、それとも、携帯電話を通して伝えるのか、あるいはメールで伝えるのか、結果は変わると思いませんか?
広告も同じことです。

これは、携帯電話や電子メール、あるいはインターネットやテレビというメディアが、それぞれ独自に何かしらのメッセージを発信しているからなのです。




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