電化製品などで、機能がたくさんついた商品、これ一台であんなことやこんなこともできちゃう!
なんだかとてもお得に感じて、魅力のある商品のように思えます。
しかし、いざ使ってみると、説明書が分厚く読んでもよく分からない…
たくさんの便利な機能が付いているはずなのに、何一つ上手く使いこなせない…
そのような商品より、説明書を読まなくてもすぐに使えそう、シンプルで簡単だけど、メインのお仕事をしっかりこなしてくれる…
そんな商品の方が実際のところ、魅力的なのです。
ビジネス上における「機能美」について、見ていきましょう。
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ビジネスではシンプルなかつ「機能美」を追求するクセをつけよう
日本ではとにかく「何でもできる」「機能がいっぱいある」ことがいいことと受け取られる風潮があります。
いわゆる「オーバースペック主義」なのです。
電化製品を見ればそれがよくわかります。
たとえば携帯電話やスマートフォンもそうです。
カメラ機能はいいとしても、電子マネーやワンセグテレビなどを筆頭に、ありとあらゆる機能を詰め込みたがります。
さらに悪いのは、その機能を説明するために分厚い説明書がついてくることです。
さっぱり読む気になりませんが、読まないとわからない機能もあります。
なかには読んでもよくわからない機能さえあります。
そこに欠けているのは「機能美」という考え方です。
無駄な装飾をすべて排して、極限までシンプルにし、そのうえで使用者が求める一般的な機能を完璧に満たしている____。
必要なものだけに絞り込み、いらないものを削れるだけ削るという作業は、付加価値を手当たり次第加えていくより、ずっと手間ヒマがかかるでしょう。
たとえば、iPhoneについてくる説明書は、一枚の紙を折り畳んだだけの薄っぺらいものだけです。
もっとも、そんなものと顔をつきあわせなくとも、手に持った瞬間から、直感的に誰でも使いこなすことができます。
それこそ「機能美」が追求された製品だからできることです。
仕様をどう決めるかは、開発担当者の頭の中がすっきり論理的に整理されていて、初めて可能になることであり、これほど難しいことはないと素人ながら思うのです。
アイデアそのものは、とても簡潔です。
しかし、そこには複雑·難解な情報が内包されている…
それがいわゆる「いいアイデア」なのです。
あるとき、車を運転していて、目的地へ行くためにはこのまま直進すべきか、右折すべきかわからず、道路標識を確かめました。
するとこれがまた、一瞬では理解しがたい標識でした。
直進すれば、遠回りになるけれど広い道を走ることができ、道順はわかりやすい…
一方、右折すると近道になるが、道は細く入り組んでいてわかりにくい…
さあ、あなたはどちらを選びますか? と、問いかけんばかりの図が示されていたのです。
道路標識を見るということは、その付近の道を知らないということです。
知らないから、どちらへ進めばいいか「答え」を求めて標識を見るのに、「選択肢」が提示されるとは一体どういうことでしょうか。
道に不慣れなドライバーが「わかりにくい近道」を選ぶはずがないと、ほんの少し頭を働かせればわかりそうなものです。
しかも、時速五〇キロメートルくらいで走りながら見るわけですから、標識に視線を止めていられるのは、ほんの一、二秒にすぎません。
こうして論理的に考えれば、標識からわかりにくい右折の道順はあえて削除して、「直進して、◯◯メートル先を右折」と簡潔に書いたほうが、ドライバーに対してずっと親切であると、簡単に結論は出るはずです。
こんな「当たり前の判断」さえできない。
それが、今の日本が抱える問題です。
一生懸命考えて、不必要なものを徹底的に排除し、単純化する…
そうして「機能美」を追求するクセを、これからの日本を担う若者たちにはぜひ身につけてほしいものです。
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