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4月20日アメリカの財務省は2020年より発行される新たな20ドルの肖像画に「ハリエット・タブマン」という女性を採用しました。
さて、このハリエット・タブマンとは一体何者なのか?…
デキるビジネスマンであれば、この新20ドル紙幣のウンチクを覚えて商談や打ち合わせなどでもサラッと語れるようになりたいものです。
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新20ドル紙幣の肖像となった「ハリエット・タブマン」とは?
名前:ハリエット・タブマン(Harriet Tubman)
生年月日:1820年または1821年~1913年3月10日
出身:アメリカ合衆国メリーランド州ドーチェスター郡
職業:奴隷解放運動家、女性解放運動家、元奴隷
人種:アフリカ系アメリカ人
ハリエット・タブマンという名前を聞くと“マン”という文字が入っているために、男性かと勘違いしてしまいそうですが、これは最初の夫のジョン・タブマンの名字がタブマンだからです。
ちなみに彼女の名前は母親がハリエットだったことから、母親が亡くなった後に名前をもらいハリエット・タブマンと名乗るようになりました。
生誕の年は不明ですが、ちょうどギリシャ独立戦争が開始された頃に生まれたアフリカ系アメリカ人の女性です。
代々、農園で働く黒人奴隷であったハリエット・タブマンは5歳の頃から自身も子守やメイドとして働き、激しい虐待や差別を受けてきました。
特に奴隷監督から頭部を殴打された後遺症は、生涯に渡ってナルコレプシー(強い眠気の発作などの睡眠障害)やてんかんに悩まされるほどでした。
そんな彼女に転機が起きたのは1849年、自分たちが奴隷として別の場所に売られると分かり、脱出を渋る夫(ジョン・タブマン)を残して北部のフィラデルフィアへ逃亡したことが切っ掛けでした。
その際に奴隷解放運動主義者の非合法組織(地下鉄道組織)であるクェーカー教徒に助けられ、彼女も車掌として19回南部を往復し、およそ300人以上の黒人奴隷を救出したと言われています。
そのため彼女は解放された黒人奴隷から「名車掌」や「黒人の女モーゼ」などと称され、アメリカの奴隷制度廃止運動家であるジョン・ブラウン(John Brown)も彼女を「タブマン将軍」と呼び、「この大陸でもっとも勇敢な人物」と評したそうです。
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新20ドル紙幣の肖像が「ハリエット・タブマン」となった背景
今回、2020年からのアメリカ20ドル紙幣の肖像となる「ハリエット・タブマン」は、ドル札の肖像画としては初めて登場するアフリカ系アメリカ人です。
ちなみにこれまで20ドルの表面に採用されていたアンドリュー・ジャクソン(第7代アメリカ合衆国大統領)の肖像は裏面に移すと発表されています。
これは1年以上もかけてロビー活動や世論調査に加え、60万人以上を対象とした新紙幣の調査で1位を獲得したのが彼女だったからというのが選ばれた切っ掛けとなります。
しかし実は、ハリエット・タブマンの肖像が採用されるのは当初2030年の予定だったのですが、2020年がアメリカで女性参政権が与えられて100年の節目ということで、「ウィメン・オン・トゥエンティーズ(Women On 20s)」などの団体が働きかけもあり、予定していた時期よりも10年早めて2020年から採用されることが決まったのです。
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まとめ
日本と同様にアメリカも印刷技術の向上や様々な社会背景を機にドル札の肖像画が変更されることがあります。
そして、2020年からは新20ドル札の肖像画はハリエット・タブマン変わり、彼女の生い立ちや選ばれた経緯も分かったかと思います。
しかし、エッジの効いたビジネスマンであれば、ここでもう一歩ウンチクを学んでおくと良いでしょう。
と言うのも、新20ドル札の表面はハリエット・タブマンですが、現20ドルの表面に採用されているアンドリュー・ジャクソンの肖像は裏面になります。
実は皮肉なことに、このアンドリュー・ジャクソン元アメリカ大統領は、プランテーション (plantation)と呼ばれる大規模農園で大量の黒人を安価な賃料で働かせていた黒人奴隷農場主であったという一面も持っているのです。
つまり多くの黒人奴隷を解放した女性運動家が描かれた新20ドル札の裏側には、多くの黒人奴隷を働かせて農場を経営していた白人のアメリカ元大統領の肖像画があるのです。
まさに2人の人物像は正反対…
深い意味は無いのかも知れませんが、ここにアメリカ社会に切っても白人と黒人のイデオロギーを感じざる得ません。
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