秋の中国共産党第19回党大会で、陳敏爾(ちん・びんじ)重慶市党委書記が党中央委員から政治局常務委員会に選ばれました。
これは、陳敏爾氏が次期・国家主席になるということを示しているのです。
では、なぜ約200人からなる党中央委員から二段飛ばしで、たった7人の中国共産党の頂点(政治局常務委員会)に至ったのでしょうか?
名前:陳敏爾(ちん・びんじ)
生年月日:1960年9月(56歳)
出生地:中華人民共和国・諸曁市
職業:重慶市党委書記
政党:中国共産党
学歴:Shaoxing University(紹興市の大学)
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結論から言えば…
陳敏爾氏が次期・国家主席と称され、最高指導部の政治局常務委員会に選ばれた最大の理由は、現・国家主席である習主席の力が働いたからです。
つまり簡単に言えば、習主席が退任して後も院政(いんせい)を図れるということですね。
これは中国だけでなく、これまで日本や世界中の各国で行われてきた…
言わば政界の悪しき慣習とも言えます。
近年でも江沢民(こうたくみん)第5代国家主席が引退した後も「党と国家の指導者」として力を発揮していました。
習主席も同様に退任後も強い力を維持するために、自分の息のかかった人物を次期・国家主席したいという思いが働いたのだと考えられるからです。
では、そもそも陳氏と習主席の関係は?というと、始まりは2002年頃…
まだ習主席が浙江省(せっこうしょう)のトップである党委書記だった頃、党宣伝部長として陳氏が務めていたことがきっかけとなります。
その頃、浙江省党委機関紙である「浙江日報」に習主席がペンネームでコラムを寄稿する手配を整えていたの陳氏でした。
毎週連載されたコラムはその後、習主席が国家主席になった後に「之江新語(しこうしんぐん)」というタイトルで書籍化されました。
この「之江新語」は習主席の重要思想として、現在は全国の党幹部の学習用教材となっているのです。
このことが評価され、習主席の派閥グループ「之江派」の若手メンバーとして陳氏の名前が高まったと言われています。
しかし、当時はまだ陳氏が次期・国家主席になるという確証はありませんでした。
なぜなら習主席の派閥グループには他にも、有力な若手メンバーがおり、特に本命と言われたいたのが広東省党委書記の「胡春華(こしゅんか)」氏、また前の重慶市委書記であった「孫政才(そんせいさい)」氏がいたからです。
けれども2017年7月15日、有力視されていた孫氏は重慶市党委員会書記を解任されてしまいます。
理由は重大な規律違反の疑いがあるとか…
しかし、その詳細は明かされておらず、孫氏の最高指導部入りへと進める重要ポストが空いたことで、陳氏が最高指導部入りを果たしたという経緯もあります。
この処遇に関しても、何かしら習主席の力が働いたのかもしれません。
ちなみに中国版Twitterと呼ばれる微博(うぇいぼー)においては、孫政才について書き込むことができなくなっています。
また習主席の後継者として本命とされていた胡氏も今回、陳氏が最高指導部入りを果たしたことで、序列的には陳氏の下位に位置付けられることになりました。
ただ胡氏は、前国家主席である胡錦濤氏からの信頼が厚く、将来の首相候補として政治局員から常務委員に昇格する見通しなのです。
つまり、習主席が人気を終える5年後には、次期国家主席には陳敏爾氏が…
次期首相には胡春華氏が、後継者として内定するのがほぼ決まったということになるのです。
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