「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」、「ラ・ラ・ランド」、「美女と野獣」、「ムーンライト」、「3月のライオン」、「パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊」、「メアリと魔女の花」などなど…
2017年に話題になった映画というと、こんなところでしょうか。
一時期、映画はテレビに代替されると言われて大分売上を落としたのですが、今や見事に復活を遂げました。
大型のシネマコンプレックスが全国に展開されるようになっています。
映画は映画として価値があり、テレビにはテレビとして価値がある…
それぞれに異なったニーズに対応していると考えられます。
とはいえ、両者は全く異なったコンテンツを提供しているというわけではありません。
例えば、映画館でヒットした映画作品は、時間が経っと、やがてテレビのロードショー放映されることがしばしばあります。
あるいは、最近では、映画はすぐにDVDという形で販売されたり、レンタルショップで借りられるようになったりします。
映画館で映画を見ると、その迫力に圧倒される方で、やはり価格が高めになります。
これに対して、テレビのロードショーで見るのならば、映画そのものは無料で見ることができます。
価格に厳しい顧客であれば、映画は、当然テレビで放映されるまで待つということになるでしょう。
なぜ、このように価格が違うのでしょうか?…
同じ映画コンテンツであるにもかかわらず、映画館では1000円以上して、テレビで放映されれば無料で見ることができます。
1つの理由は、もちろん、テレビで放映される場合にはテレビ局がお金を肩代わりしてくれるのだろうということです。
レンタルにしても同じです。
あるいは、映画館の場合には設備にお金がかかり、テレビで放映する場合にはそれほど設備もいらない…
ということもあるでしょう。
同様に、映画館の場合は、デートなど特別な用途に用いるため、それなりの価格と雰囲気が必要ということかもしれません。
とはいえ、ここで注目したいのは、特に顧客の側の問題…
どのくらいその映画を早く見たいと思っているのか?ということです。
映画館にまで見に行く人々の多くは、おそらく映画に特に興味を持っている人でしょう。
逆に、テレビで放映されるまで待つという人々は、比較的映画には興味がなく、機会があれば見たい程度に思っている人ではないかと思います。
最初にどうしても映画を見たいという人をターゲットにして、高めの価格を設定する…
次に、できれば見たいという人をターゲットにして、中ぐらいの価格を設定する…
最後に、どちらでもいいと思っている人をターゲットにして低い価格を設定する…
この方法を「経時的ディスカウンティング」と呼びます。
アパレル製品も経時的ディスカウンティングです。
最初は定価で販売されて、売れ残るに従ってだんだんと価格が下がっていきます。
最後はバーゲンやアウトレットに回って、より安く提供されることになります。
顧客の欲しいと思う程度に応じて、うまくそれに見合った価格をつける戦略というわけです。
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低価格で参入してシェアを取る…浸透価格戦略とは?
経時的ディスカウンティングは徐々に価格を下げていく方法ですが、全く逆の方法もあります。
最初に低い価格をつけて、その後価格を上げていく(実際には、直接価格を上げることは困難ですが)という方法です。
これは「浸透価格戦略」といいます。
この場合には、顧客の期待だけではなく、規模の経済や経験の経済、マーケティング上の様々な思いが入り込みます。
かつて任天堂がファミリーコンピュータを販売したとき、その価格は、他社の製品に比べて驚くほど安いものであったといわれています。
機能を絞り込み、半導体部品を大量に一括購入するという決断が可能にした価格だったわけですが、同時に、最初の価格を低く抑えることで
市場へ一気に普及させることを目指しました。
そして、見事にシェアを獲得し、以降は質のいいゲームソフトを定期的に販売することによって資金を回収し、今日の世界のNintendoとしての基礎を築いたのでした。
任天堂の例を見てもわかるように、浸透価格戦略を採用する場合には、長期的な視点から資金を回収する計画を立てる必要があります。
売れた後でファミリーコンピュータを値上げしてもあまり意味はありません。
そうではなく、例えば、たくさん生産することによってコストを押し下げるという視点や、ゲームをする際に必要になるソフトウェアで利益を得るという視点が必要になります。
最初に十分な利益を得ようとする方法も、逆に後から回収しようという方法も、どちらもそれなりに理由があります。
大事なことは、市場動向を勘案しながら、緻密に資金回収プランを立てるということでしょう。
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