仕事のできない人を短時間である程度のレベルにまで底上げする教科書…
それが「マニュアル」です。
マニュアル教育は、二流以下の人材を合格の最低ラインに引き上げるには効果絶大なアイテムです。
もちろん、もっとレベルの高い仕事をするためには、マニュアルを超えなければできません。
でなければ「ハンバーガー10個」の注文に、「こちらでお召し上がりですか?」といって不気味なスマイルを返す店員になってしまいます。
「正しい仕事」をするためには、まずはマニュアルに書いてあることを正確にこなすことが重要なのです。
最低限のマニュアルしかなく、あとは各自の裁量で動け、という指導ほどいい加減なものはありません。
接客などの店頭業務や製造などのバックヤードの仕事にしても、基本的な業務の内容や段取りはすべてマニュアル化されていなければいけないのです。
マニュアルを徹底的に叩き込んでから「現場」に出る…
という工程は当たり前です。
自動車教習所でもテキストをポンと渡されて、「じゃ、明日から路上教習するから」とは言われることはありません。
仮免のレベルになるまでは施設内で講義を受け、実際に車を運転するという実地教習を受けるのです。
マニュアルは正確に覚える…
徹底的に頭と体に叩き込む…
これが基本です。
現場では例外的な事項がたくさん出てきます。
80パーセントはマニュアルで対応できますが、20パーセントはアドリブで対処するしかありません。
当然、アドリブが得意な人と不得意な人がいます。
「教えてもらっていないのでわかりません」、「まだやったことがないのでできません」と平気でいう人が少なくありません。
これをマニュアル世代と批判しますが、アドリブが不得意な人を「融通がきかない」、「想像力が足りない」と非難するのは間違っています。
そもそもマニュアルには、例外事項はほとんど載っていないのです。
融通が利かない人には、1つひとつ指示を出してやらないと仕事になりません。
部下が自分の頭で考えられなければ、上司が指導するしかありません。
例外事項を少しずつ勉強することによって、いずれ臨機応変に対処できるようになるのです。
これをマネジメントの世界では「熟練労働時間」と呼びます。
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また自分も上から指導されるだけでなく、先輩の仕事ぶりを観察して、その理屈を類推し、自分でもやってみる…
こんなことを何回も繰り返していると、今までやったことのない仕事でも「これとこれとを組み合わせたらできるな…」という「イメ
ージ」が湧いてくるようになるのです。
これを「想像力」といいますね。
仕事ができる人はこの「想像力」が豊かです。
だからこそアドリブ力があるのです。
マニュアルの弊害が叫ばれて久しいですが、実はマニュアルほど効率の良いものはないと言えるのです。
昨日まで右も左もわからなかった人をほんの数時間であっという間に標準レベルに変身させるのはマニュアルの賜物です。
ただしマニュアルはあくまでも最低合格ラインですから、その他大勢から抜け出すには、プラスαの付加価値が必要であることは、どんな仕事でも同様です。
この時に大切なことは、仕事ができる人のやり方を良く観察してそっくり真似てしまうことです。
「勇将の下に弱卒なし」といいます。
優秀な上司の下に優秀な部下が育つのは、マニュアルを超えたお手本をしょっちゅう見て勉強できるからです。
エッジの効いたビジネスマンならば「この人だ!」と思う人を見つけて、とにかくコピーすることが大切なのです。
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