ビジネスの世界には様々な市場があります。
また、その市場が何らかの法則をもっていることもあるのです。
エッジの効いたビジネスマンであれば、そういった市場の法則について少しでも知識をつけておかなければいけません。
そこでここではビジネスマンなら知っておきたい…
「レモン市場の法則(アカロフの法則)」についてお話したいと思います。
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ビジネスマンなら知っておきたい「レモン市場の法則」
この法則は「売り手が買い手よりも情報を多く持っている場合に起こる不均衡」を意味しています。
アメリカの経済学者ジョージ・アカロフ氏は、中古車市場で購入する車が故障しやすいという現象を解明しているうちに、「中古車市場で欠陥車がはびこるのは、品質の良い車を持っている者が、自分の車を中古車市場に売りに出さないからだ」と結論付けたのです。
その理由は、商品品質に不確定要素がある場合、売り手(中古車ディーラー)が買い手よりも、その商品(車)について情報量を多く持っているからだとしました。
この法則が一般に「レモン市場の法則」と呼ばれるようになったのは、アメリカのスラングで「レモン」は「不良品」や「欠陥品」を意味しており、アカロフ氏が欠陥車を対象に調査したからです。
アカロフ氏は、車の所有者が「なぜ、いい車を持っている所有者が自車を中古車市場に売りたがらないか?」…
その理由を次のように説明しています。
中古車とは、品質上に不確定要素がある使い古した車を意味し、当然のことながら何らかの欠陥を持っている可能性があります。
それは保有者の運転方法や、手入れや維持の仕方、事故の回数などに起因しているので、買い手にはその素性がわからないことが多いからです。
しかも、重要部品の多くの瑕疵(かし)は、目に見えない箇所にあるので容易にチェックできません。
かたや売り手は、中古車の経歴や隠れた瑕疵を知っていても、買い手に知らせないことが少なくありません。
というのは、欠陥や瑕疵を買い手に教えると、自分の立場が不利になるので、あえて教えようとせず、欠陥車であっても良い車として売ろうとするからです。
ここに相互に情報の不均衡が生じるわけです。
そこで、市場に出回っている中古車の品質水準は、一般に低品質のものと見なされるようになり、買い手はそれ相応の相場しか払わなくなるのです。
一方、良い車の持ち主は、それに相当する価値で買い取ってもらえないので、車を中古車市場に売りに出さないようになるのです。
彼らは車を売り渋り、続けて所有するので、中古車市場に良い車が出回らなくなり、低品質の車が益々増えることになるのです。
アカロフ氏は、その結果、中古車市場では欠陥車が横行し、「レモン」ばかりが出回ると断じたのです。
この法則は、他の中古品、たとえばパソコンや家電製品についても適用されるようになっています。
これらは分野が違うとはいえ、先の「悪貨は良貨を駆逐する」法則の具体例といえるでしょう。
中古車市場で車を購入する場合や、中古品を買う時に、この法則を踏まえておくことが大切です。
つまり、どんな場合でも、買い手は事前に情報を豊富に持ち、売り手よりも有利な立場に立つことが大切だからです。
たとえば、食材やワインの品質を熟知している消費者は、たとえ高級レストランで気に入らない料理やワインが出されたら、取り替えることを要求したり、支払いを拒否することすら毅然(きぜん)とできるのです。
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