「レス・イズ・モア」という言葉をご存知でしょうか。
もちろん英語で「Less is more.」と書きます。
意味は「少なければ多くなる」…
一見矛盾しているようにも感じるこの言葉、果たして本当の意味やの日々の生活の中でどのように活かせるのでしょうか。
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「レス・イズ・モア」の意味とビジネスでの活かし方
アメリカでは、「少なければ多くなる(レス・イズ・モア:Less is more.)」という法則がよく使われ、人生訓となっています。
物事をシンプルにすれば、「減る」のではなく、むしろ「増える」という意味だが、増えるのは量でなく、その価値なのです。
不要な物事を切り捨てると、その分だけ時間が余り、より有効なことに使えるので、生活や仕事における複雑さの悪循環から、自分を解放できるのです。
しかし、物事を単純化するには、あらゆる虚構や誇張を取り去って、本質やエッセンスに絞り込む必要があり、いうほど簡単ではありません。
ある識者は、いみじくも「物事を複雑にするのは簡単だが簡単にするのは難しい」と、その難しさを説いています。
単純化することは、芸術分野にも強い影響を与えています。
1960年代のアメリカでは装飾的要素を最小限に切り詰め、シンプルなフォルムを目指す「ミニマリズム」が生まれました。
絵画や彫刻などの視覚美術、それに建築や彫刻の造形芸術だけでなく、音楽や文学の分野においても、それが大きな潮流となり、これを信奉する人たちは、ミニマリストと呼ばれるようになりました。
建築分野ではドイツのルードウィッヒ・ミースが「Less is more.」を謳って近代主義建築の先駆けとなり、絵画ではフランク・ステラやドナルド・ジュッドが有名です。
もちろん、装飾を排した簡素な建築美は最近始まったものでなく、約2000年前に建てられたローマのパンテオンも、シンプルさを集約的に表現した代表的建造物ではないかと思います。
鉄筋コンクリートを使用していない世界最大の石造建物として有名であり、その雄大なドームが形成する荘厳な空間は、現代の私たちにも強く訴えるものがあります。
わが国にも簡素化の美を追求した建物が、すでに約400年前から存在しています。
それはドイツの著名な建築家、ブルーノ・タウトが「泣きたくなるほど美しい」と絶賛した京都の桂離宮です。
建物や内装のシンプルな美しさは、長い年月を経た今でも、私たちの心を強く打つものがあります。
その簡素な形式美は、西欧のミニマリズム運動に、強い影響を与えたといわれているのです。
ミニマリズムは、工業製品にも大きな影響を与えるようになり、極端な装飾や凝った形状は排除され、最小限の機能に絞って、製品の操作を簡便にするようになりました。
金言「少なくが「多くをもたらす」は、商品についても当てはまり、高価なものほど良いとは限らないようです。
最近、スコットランドの学者が行った調査によれば、ランニング・シューズについて、1足80ドルから150ドルまでの3種類の銘柄の特性を調べたところ、低価格の商品は高価格のものと比べて何ら遜色はなく、場合によっては、低価格商品の方が良い評価を得たといいます。
誰しも、高額なお金を払えば、より優れた商品が得られると思いがちですが、その先入観は捨て去らなければならないと主張しているのです。
シューズ・メーカーは、改良クッションなどの工夫を加え、足や膝への負担を軽減して怪我の防止になると謳い、高値で売っていますが、2009年の統計によれば、そのようにシューズに改良を加えても、怪我の度合いは減少していないといいます。
何も有名メーカーの宣伝する特性につられて高価なシューズを買う必要はなく、安価品で十分間に合うとされるからです。
つまり「レス・イズ・モア」なのです。
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