文科省の「先輩証」は果たしてどんな意味があったのか?

文部科学省(以下、単に「文科省」という)が発行していた「先輩証」なるものを皆さんご存知でしたでしょうか?
正式名称は「文部科学省先輩証」といいます。

この「先輩証」は文科省のOBなどに発行され、自由に文科省に出入りできる許可証の役割をしていました。
交付の対象者は、文科省に勤務歴がある独立行政法人や国立大学などの部長職以上の退職者で、「先輩証」を希望した人に対して発行されていたものです。

この仕組みは2000年度から行われ、今年の4月までに延べ1,000枚が発行されていたといいます。
つまり毎年、約60枚が発行されていた計算になります。
文科省の退職者に人数はわかりませんが、人数的にほとんどの人が希望し、発行されていたのではないでしょうか。。




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そもそも「なんでそんなもの必要なの?」…
と、普通の人ならそう感じてしまうと思います。

一般企業であれば退職した人が元いた会社に簡単に出入りすることはできません。
情報漏えいなどのセキュリティ対策の意味もありますし、そもそも「何の用はあるの?」とみんなに思われてしまいます。

しかし文科省にOBが自由に出入りできるということは、再就職(天下り)のあっせんがとてもやりやすいそうなのです。
退職したOBが現役の文科省職員(特に人事課)に会い、天下り先の相談や情報交換ができるからです。

事実、今年の2月10日に、文科省のOB絡みで9件も内閣府の「再就職等監視委員会(内閣府の審議会等の一つで、国家公務員の退職・離職後の再就職等について一定の手続・規制を行う組織のこと」が違法と指摘した関係する団体が挙げられています。

例えば筑波大の教授を務める文科省OBの依頼され、文科省の人事課職員が退職者ら4人の情報を提供していた問題(当人は否定)…
また辞職した前川喜平前事務次官が中京大から文科省OBの紹介を依頼されていた件では、前川氏は仲介役だった人事課OBの嶋貫和男氏に、この情報を伝えた後、別の大学に在籍していた同省OBに中京大への再就職を打診していました。

その他の7件でも明治薬科大、人間環境大、公立学校共済組合や医学教育振興財団、日本工芸会、文教協会、学生情報センターで、天下りのあっせんが指摘されています。

再就職等監視委員会が違法と指摘したこれら9件に関して、「先輩証」が使用されたという話は明記されていませんが、かなりの
可能性で使用されていたものと推測できます。
またネット上でも「先輩証」に関して、ほとんど否定的な意見が挙げられていました。

こんな馬鹿げたものがまかり通ってたのか…

で、この特権階級意識丸出しのアホな制度は他の省庁にはないのかな?

引退・卒業してもいつまでもやってくる部活OBのような、文科の先輩証のウザさ。

やっていることが「昭和」だ。もう平成も29年になるというのに~




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ちなみに「先輩証」の裏面にはこのような注意書が記されています。

〇この先輩証を紛失・き損した場合はすみやかに、交付者に届けてください。
〇この先輩証を不用になった場合はすみやかに、交付者に返納してください。
〇この先輩証を携帯いただければ、文部科学省庁舎へ入構の際、便利となります。

交付者 文部科学省大臣官房人事課

特に3つ目の「この先輩証を携帯いただければ、文部科学省庁舎へ入構の際、便利となります。」という点が、どういう意味なのか、また「先輩証」の交付者が人事課となっている点も、そもそも天下りをあっせんするために作成されたものではないか?と勘ぐらせてしまいます。

今回、長年にわたって交付されていた「先輩証」は廃止され、今後はOBも一般の人と同様、名前や訪問先の部署名を紙に記入し、訪問先の許可を得てから省内に入ることになりまりた。
天下りの是非はさておき、これで天下りが減っていくのでしょうか。

そもそも文科省の使命は、「教育」「科学技術・学術」「スポーツ」「文化」の各分野の振興を通じて、「人と知恵」をはぐくみ、未来の基盤をつくっていくこと…
この使命に恥じないような制度や仕組みをこれからは作っていって欲しいと願います。

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