人工知能が株式投資をすることは人類にとってプラスとなるのか?

人工知能(AI)の持つ「知性」が人間のそれをはるかに上回るようになると、人間は自ら生み出した創造物によって逆に翻弄され、最悪の場合、破滅の淵に立たされるかもしれない…
多くの識者たちが、そうした悪夢のような未来について警鐘を鳴らしていますが、中には「人工知能は少なくとも現時点では安全で無害なのだから、まだそれほど目くじらを立てる必要はないじゃないか」と思う人もいるでしょう。

しかし、それは大きな間違いだったりするのです…
実は人工知能は、すでに私たちの社会のある分野に実慨をもたらしているのです。
その分野とは「金融」…

金融市場では、すでに人工知能がトレードに使われており、従来の人間による取引に人工知能による取引が取って代わるのではないかと見られています。
金融の世界では、膨大なデータを学習してあらゆるデータを多角的に分析し、かつ超高速に判断することができる人工知能の方が、人間の機
関投資家よりも正確な投資を行えるという考え方が広がりつつあるのです。

実際に、いくつかの投資ファンドは、すでに人工知能による取引によって利益を上げており、2015年に開かれた世界各国の投資ファンドなどが集まる「バトル・オブ・ザ・クオンツ』というイベントでは、人工知能による投資でどれだけの利益を上げることができたかを競うコンペティションが行われたほどです。

その際にトップの成績を上げたファンドは、何と信じがたいことに48%という脅威的な利回りを記録したといいます。
実に驚くべき数字です。




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また、2015年4月には、アメリカで人工知能による超高速取引を行う会社が上場して話題になりました。
超高速取引とは、独自開発の自動発注機能を備えたコンピュータによって、数万分の1秒単位で株式や先物の売買を行う取引のことで、アメリカでは2000年代から徐々に増えていき、日本でも2010年1月から東京証券取引所が次世代売買システム「arrowhead(アローヘッド)」を導入、1000分の1秒単位の注文処理を可能にしました。

arrowheadが導入された翌年には、日本にも人工知能を利用したヘッジファンドが生まれています。
それこそゴールドマン・サックス出身の古庄秀樹氏が立ち上げた「ブルーガ・キャピタル」です。

ブルーガ・キャピタルでは、人工知能に数千万に及ぶ日本語ブログに投稿される膨大な言語情報を解析させ、その情報をもとにして日経平均先物に投資、利益を上げているのだといいます。

人工知能による金融取引は、もちろん世界最大級のヘッジファンドからも熱い視線を向けられています。
カリスマ的投資家で世界最大の資産を有しているのではないかと目されるレイ・ダリオ氏率いるヘッジファンド、ブリッジウォーター・アソシエーツ(運用規模は約1650億ドル)は、すでに人工知能チームを発足、IBMで人工知能「ワトソン」の開発に携わったデービッド・フェルッチを監督に迎え、人工知能によるトレードへの取り組みを始めています。

確かに、人間よりも高速かつ正確に膨大なデータを解析することができる人工知能に取引を任せれば、一部の人間の懐をこれまで以上に潤わせることができそうではあります。

しかし、このやり方は安全なのだろうでしょうか?
私たちの生活を脅かす危険性はないのでしょうか?

実は、人工知能による取引では、すでに弊害が生じてしまっているのです。
2010年5月、ある人間のトレーダーが大量に売り注文を出したことに過敏に反応した自動取引ポットが「超高速」で状況を判断、売り連鎖を引き起こし、それが金融危機の引き金になってしまったのことがあります。
この事件は、超高速に判断できるという人工知能のメリットが、危機をも超高速で拡大させてしまう可能性があるということを明らかにしました。

人工知能は、人間の頭脳よりもはるかに高速な判断を行うため、人間が異常に気づいたときには時すでに遅し…
売り連鎖などの動きを食い止めることができなくなってしまうのです。

また、ある識者は、人工知能による超高速取引は市場の公平性を大きく損なう怖れがあると指摘しています。
人間の投資家と人工知能の投資家では、売買のスピードに圧倒的な差があるため、人工知能が人間の投資行動を解析した上で先回りして株式を買い占めたのちに、人間の投資家に対して買い値より少し高い値で売って利益を確保するという投資行動を行うことができるからです。
これでは、人間は人工知能のいい「カモ」になってしまうのではないでしょうか。




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