同業他社へ転職禁止の誓約書を書かせることは違法なのか?

ビジネスマンならば、長くその会社で働くこともあれば、退職して別の会社に転職することだってあります。
これ自体は何の問題もないでしょう。

しかし、もしその転職先が同業他社であったならば…
今の会社もいい顔はしないかもしれませんし、中には同業他社へ転職禁止の誓約書を書かせることだってあるかもしれません…

さて、この同業他社へ転職禁止の誓約書…
いくら同業他社へ転職が嫌だからと言って、これは違法にあたらないのでしょうか。




Sponsored Links


同業他社へ転職禁止の誓約書を書かせることは違法か?



基本的には、どの会社でどんな仕事をしようが自由です。
過去の勤め先で身につけた技術や経験、情報やノウハウを活かしながら、新しい勤め先でも頑張っていこうと考えるは当然のことです。

一見すると、前向きで良い発想のように思えます。
しかし、昔の勤め先の立場で考えてみると、いろいろと気の毒な面もあります。

多くの費用や手間を使って、会社が従業員を教育するのも、門外不出の企業秘密を従業員に託すのも、その会社のよりよい発展に貢献するよう期待しての、投資であり公表なのです。
間違っても、その従業員が退職して、ライバル会社へ転職したり、新たにライバルとなるような同業会社を起業したりすることをサポートする目的ではありません。

そこで就業規則により、一定期間、同業他社へ移ったり、同業の新会社を立ち上げたりすることを禁じる「競業避止義務」を従業員へ課す会社が増えています。

競業避止義務(きょうぎょうひしぎむ)・・・一定の者が自己または第三者のために、その地位を私的に利用して、営業者の営業と競争的な性質の取引をしてはならない義務のこと

ただし特別な開発社員など、秘密の企業ノウハウを現実に持っていたり、同僚を大量に引き抜いていたりなど、かなり強度な裏切り行為がなければ、損害賠償や退職金減額、競業差し止めなどの強制的な対抗手段は採れないと考えられています。

そのため、どれほど同業他社への転職禁止を規定した誓約書、また就業規則があったとしても、これまでの判例にのっとって違反していればその部分は法的に無効となります。
つまり違法というよりも穂的効力がなくなり無効になるということです。

なお、取締役については会社法の条文で競業避止義務が課されています。
また、会社の機密情報の外部持ち出し行為そのものに対しては、不正競争防止法で厳しい罰則(最高で懲役10年・罰金1000万円)が定められています。

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

PR

PR

ページ上部へ戻る