皆さんのご自宅の近くにもあるのではないでしょうか。
食料品から衣類にいたるまで、取り扱っていないものはないというくらい品数の多いディスカウントストアが…
しかも、どの商品も通常の値段より安く手に入るとあって、週末の郊外店では駐車場の順番を待つ車の行列ができるほどのお店もあるようです。
そんなディスカウントストアなどで、商品が棚に並べられることなく大きな配送用の段ボールに入れられたままで売られているのを見かけることがあります。
無造作に山積みされた段ボールには商品がぎっしりと詰まっているのですが、そこに手書きのポップが張られているのを見ると、不思議と人だかりができていくのです。
そして次々と客の手が伸び、あっという間に完売となってしまいます。
いかにも「手間も時間もカットして、余分なコストを抑えています!」…
といわんばかりの見せ方に、消費者はつい心惹かれてしまうのです。
このように入荷した段ボールなどの箱をカットしてそのまま陳列するのは、実は「カットケース陳列」や「段ボールカット陳列」などと呼ばれるれっきとした陳列テクニック…
販売のプロを認定する「販売士」の資格試験にも問題として登場するほどで、業界ではよく使われている手法なのです。
アメリカのビジネス書の著者であるホール氏によると、一般に消費者は「注意(Attention)→関心(Interest)→欲求(Desire)→記憶(Memory)→行動(Action)」と、5つの段階を経て商品を購入するといいいます。
これはその頭文字をとって「アイドマ(AIDMAの法則)」と呼ばれているのですが、この段ボールカット陳列はその最初のステップでもある「注意」と「関心」を持たせるにはもってこいなのですね。
そもそも、ディスカウントストア自体が内装工事に手をかけずにほとんど倉庫そのものという雰囲気を出している店が少なくありません。
これも店全体で「コストをカットしている」という印象を客に与えるための「演出」なのです。
何気ないところにも、売る側の計算が見え隠れしているのです。
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